身内が刑事事件で逮捕され、弁護士に依頼する場合、弁護士費用はいくらくらいかかるのでしょうか。

刑事事件の弁護士費用は高い傾向にある

刑事事件の弁護費用、といっても法律事務所ごとに報酬基準が定められているものであり、一概に他の事件と比較して高い、安いを判断することはできません。例えば、東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会の東京三会の基準であれば、被疑者段階の着手金が20万円(+消費税、以下同様です。)、公判請求されなかった場合の報酬金が30万円、と被疑者段階だけで50万円が相場とされています(東京三会であれば、これ以上の金額での契約には、各弁護士会への報告が必要です。)。但し、全国的にこの運用がなされているわけではありません。

また、離婚や相続のような一般民事事件であっても基本的に、着手金で30万円程度の費用は発生しますし、同様に、成功報酬も同額程度が発生するのが一般的であることを考えれば、刑事弁護の弁護士費用が特段高額、と一概に言い切ることもできないでしょう。もっとも、刑事事件というのは、被疑者の家族などが弁護士を雇わなくても、最終的に起訴された段階では国選弁護人が付きます。

国選弁護人の費用は安いが弁護士を選べない

国選弁護人の費用を被疑者・被告人が負担することになったとしても、その費用は、上記の費用よりはかなり格安に抑えることは可能です。もっとも、国選弁護人はあくまで、その日に名簿に載っている弁護士からランダムに選ばれることになりますので、家族の方が希望する弁護士を付けることはできません。極端な話、刑事弁護の名手に当たることもあれば、新人弁護士に当たる可能性もある、ということになります。

以下では、あくまで私選弁護、つまりは家族の方などが弁護士を選んで委任する場合にかかる必要についての話になります。

弁護士費用の内訳

まず、私選弁護人を選任するにあたっては、着手金、つまり、弁護士が仕事に取り掛かる際に発生する費用が発生します。被疑者の段階(起訴される間の段階)で依頼すると、被疑者段階、被告人段階、と二重にこの費用が発生するのが難点といえるでしょう。

また、事件が一段落する場合にはそれぞれ報酬が発生します。これは、起訴・不起訴・有罪・無罪等の結果によってかかる費用が変わってくることになります。これ以外には弁護士の実費や、交通費、タイムチャージ等が請求される可能性がある項目です。

どの費用にしても、弁護士との委任契約書でその内容をしっかりと把握し、確認しておくことが必要になります。

弁護士費用の内訳相場

弁護士への相談料

弁護士への相談料、というのは基本的に、時間に応じて発生することになります。相場としては30分5000円+消費税、というのが通常です。

もっとも、タイムチャージ制ではなく、着手金+報酬金(+実費)という形で弁護士費用を計算する法律事務所の場合、受任することになれば、相談料については請求しないことも少なくありません。これは結局、弁護士との委任契約をどのように結ぶのか、そしてその内容として相談料がどのように定められているか、という点に尽きることになります。

接見費用

契約内容によっては、接見の回数ごとに費用が発生する場合があります。逆に、全て着手金・報酬金にコミコミという場合もあります。そうではなく、接見ごとに費用を取るような場合、一回につき2万円前後が相場の様です(これも初回無料という場合もあります。)。結局のところ、弁護士との委任契約の内容次第なのは上記と同じです。

着手金

事件に着手すると着手金というものが発生します。東京三会では上記のように20万円が基本とされています。これは生花に関係なく、弁護士に依頼した、ということで発生する費用です。

成功報酬

通常の民事事件では成功報酬、という言葉を使いますが、刑事弁護では基本的には報酬金、という言葉になります(そもそも刑事事件では、どのような判決が成功といえるのか、人によってあいまいな側面が強いといえます。)

刑事事件の場合、いかなる結果になろうとも一定の費用は掛かります。報酬金が東京三会では30万円が基準とされており、不起訴や執行有訴、無罪判決等になったような場合には+αがかかるという形態が通常形態といえます。無罪等であれば100万円単位の報酬金が設定されることも少なくありません。

実費

実費の考え方も契約次第です。実際の交通費や費用だけ、というのが基本形態です。もっとも、証拠のコピーについては1枚10円ですることはできません。検察庁の中の業者に依頼することになりますので1枚30円、ということになります。但し、デジカメで証拠を1ページずつ撮影するような場合は別ですが、その手間を考えると別途弁護士費用が発生する場合もあり得ると考えられます。結局はコピーを業者に依頼する方が速いし、楽でしょう。

日当・タイムチャージ

日当は1期日●万円、タイムチャージは1時間●万円、といった形で費用が加算されることになります。これは依頼する弁護士のランクによって、金額が大きく異なってきますので、相場というものは存在しない、というのが正しいでしょう。繰り返しになりますが、委任契約書にどのように契約しているか、ということが重要になります。

弁護士に色々お願いすると予想外の高額費用になることも

上記のように、刑事弁護の場合、いろいろな場面で弁護士費用が発生してしまいます。その金額も特にタイムチャージ制で契約すると青天井になりかねません。せっかくいい弁護活動をしてもらい、被疑者・被告人にとって望ましい判決が出たとしても、家族が金銭的に苦しんでしまい、生活苦に陥るようでは本末転倒です。そうならないためにも、私選弁護を依頼する際には、その契約書、特に委任契約書の内容はしっかりとチェックしておく必要があります。

示談金の相場

被害者との示談とは、当事者同士の同意(契約)で、その刑事事件を私的には終わらせることを意味します。例えば、●万円を支払うので、被害届(告訴)を取り下げてもらう、といった内容です。

この場合、弁護士費用とは別に、示談金というものが必要になります。相場もあるようでない、というのが実態です。被害者の方が要求する金額にどこまで耐えられるか、あるいはどこまで交渉して、どこで折れるか、弁護人と協力しながら話合いを進めていく必要があります。もちろん、家族・本人の資力とも十分に相談する必要があるでしょう。また、忘れてはいけないのは、示談の際に、民事事件についての請求権を放棄させることです。弁護士であれば、当然、この条項は挿入すると思いますが、示談による解決を図る場合、その点も含めた解決を依頼することは念頭に置いておきましょう。

また、仮に示談成立の場合、その成立の時点で別途弁護士費用が発生する契約になっている場合もありますので、その点もしっかりと確認しておく必要があるでしょう。

高額な弁護士費用にならないために

知っている情報を明確に伝えておく

だらだらとすべてを弁護士に任せるのは弁護士費用の面から得策とは言えません。少なくとも上記のような相談費用や接見費用などが別途かかる契約になっている場合、その回数はできるだけ少なくするのが経済的です(もちろん、被疑者・被告人の利益のため最善の策、必要十分な回数の打合せや接見は必要です。その分の負担は覚悟する必要があります。)。

しかし、家族が知っているような状況を複数回にわたって改めて弁護士が聴取するのは二度手間です。そこに費用が発生するのであれば、カットできるところはカットする意識を持つことは重要でしょう。そのため、家族が持っている情報は、まず初回相談の時点で全て弁護士に伝えるよう心がけるべきです。

初回無料相談を利用する

上記のような場合に、ある程度見積もりなども立てやすいのが、初回相談無料をうたっている法律事務所です。無料相談の中で、見通しや費用等の意見を弁護士から聴き、そこで私選弁護人をつけるかどうか判断するのもよいでしょう。あくまで費用対効果の問題なので、しっかりと冷静に判断することが重要です。

初回無料相談はそのための貴重な資料を得ることにつながると考えられるので、積極的に利用すべきです。また、弁護士との相性も確かめておくとよいでしょう。

料金形態を確認する

上記の繰り返しになりますが、委任状や委任契約書を締結する際には、サイン・捺印をする前にその内容をしっかり把握する必要があります。分からないところはとことん聞くべきです。弁護士はあくまで依頼者との信頼関係を基礎として仕事を行うことが決められていますので、答えない・あやふやな答えをするような弁護士であれば、正直、他の弁護士を探すことをおすすめします。

弁護士費用の支払い方法を確認する

費用が上記の合計額になってくるので、少なくないことがほとんどです。一括の支払いが家計的に厳しい、ということであれば、分割払いを相談してみましょう。最近では、分割払いに応じてくれる法律事務所も少なくありません(但し、業界的には、やはり一括払いが原則ではあります。)。

国選弁護人と私選弁護人はどちらがいいの?

上記したように、私選弁護人には少なくない弁護士費用が掛かります。これに対して国選弁護人であれば多くても合計30万円、判決で(被疑者・被告人の収入などの関係で)国の負担と認められれば、被疑者・被告人のみならず、家族の負担にはなりません。また、仮に負担となっても、法テラスに対しての分割での支払いが認められることもあります。

そうすると、費用面では圧倒的に国選弁護人のメリットが大きいです。しかし、上記したように、国選弁護人を家族が選ぶことはできません。よって、付く弁護人が刑事事件に強い弁護士なのかどうなのかはわかりません。また、弁護士のモチベーションも私選弁護人の方が大きいのは道理でしょう。

弁護士へ依頼するタイミングはいつがいいのか?

弁護士への事件の依頼は早いに越したことはありません。特に否認事件のような場合には、自白調書を取られる前に弁護人を付ける必要性が高いでしょう。逮捕後すぐに弁護活動をすれば、勾留をしないように検察官に働きかけることも可能です。弁護士のアドバイスを受けながら被疑者が勾留場での生活を送れることのメリットは非常に大きいといえます。

まとめ

刑事事件の被疑者・被告人になってしまう可能性は誰にでも潜在的に存在します。万が一、トラブルに巻き込まれ、特に身柄を拘束されてしまったような場合には、早め早めに対処していくことが特に身体解放という意味では重要になります。また、刑事事件の経験豊富な弁護士に頼むことも重要でしょう。少なくとも、塀の向こう側にいる被疑者・被告人の大きな支えにはなるはずです。

もちろん、最優先すべきは、被疑者・被告人の利益ですが、それと弁護士費用・示談金などの支出とのバランスを考えながら私選弁護人は使うようにしましょう。また、刑事事件から民事事件で損害賠償請求、ということもあり得ます。そこも一気に解決するべく、弁護士を有効に使うべきです。