もし、刑事事件で罰金が払えないとき、どうなってしまうのか、詳しく見ていきましょう。

罰金は現金一括払いが原則

罰金は刑罰の一つです。すなわち、刑罰の種類には、死刑、懲役・禁固・拘留、罰金・科料があり、罰金は刑罰のうち財産刑として分類されています。当然、刑罰ですので判決で罰金を言い渡され、それが確定すれば前科となります。

そして、罰金の支払いは、原則として現金一括払いで行わなければなりません。借金とは違い、あくまで刑罰ですので、分納などは原則認められていません。そのため、判決により罰金を言い渡された人の中には、罰金を一括で払えるだけの資力を持ち合わせておらず、罰金を支払えなかったというケースも存在します(その場合、後で述べる通り、労役場留置となります)。

罰金の支払い期限が過ぎるとどうなるの?

罰金はどのように支払うの?

罰金の支払い方法については、主に二通りの方法があります。①検察庁に直接納付するという方法と②検察庁から送られてくる納付通知書に従って指定された金融機関に納付するという方法です。

罰金の納付期限はいつまで?

刑法第18条第5項によると、罰金を言い渡す判決の確定から30日以内は、本人の承諾なしには労役場留置をすることはできないとされています。したがって、本人が承諾をしていないのであれば、30日以内に罰金を納付しさえすれば労役場留置を免れることになります。そのような意味で、一応の納付期限は判決確定後30日以内といえるでしょう。

罰金の支払いを無視するとどうなるの?

罰金を判決確定後30日以内に納付しないと、法律上労役場留置が可能となります。そうなると、検察庁から呼出状が届くことになりますし、悪質な未納の場合は検察庁から担当者がやってきて、強制的に労役場に留置されることになります。

労役場留置とは?

労役場留置とは、罰金を完納することができない場合に、労役場という刑務所・拘置所内の施設に留置し、軽作業を行わせることで、罰金を支払わせたことにする制度です(刑法第18条第1項)。要するに、お金が払えないのであればその分働いてくださいということです。

労役場でどれくらい働けば罰金を支払ったことになるかというと、多くの裁判所は労役場留置をさせる日数を定める上で労役場留置1日につき5000円をベースにしていますので、5万円の罰金であれば10日間労役場に留置されることになります。

法律上、労役場に留置されている者については、懲役受刑者と同様に扱うことになっておりますので、懲役受刑者と同様に外には自由に出られませんし、面会にも制限があります。

まとめ

以上の通り、罰金を支払わないままでいると、強制的に身体を拘束され、労役場留置となってしまいます。そうなると、労役場での軽作業を指定された日数の間こなさなければ外には出られませんので、とても不自由です。罰金の支払いは原則一括払いですが、検察庁と相談して例外的に分納とすることも全く不可能ではありませんので、一括で払えないからといって放置するのではなく、弁護士に労役場留置を避けることができないか相談してみるのもよいでしょう。