ドローンで女性の裸など盗撮して逮捕された場合、どのような刑罰があるのか、詳しく見ていきましょう。

ドローン盗撮で捕まった場合、どのような刑罰があるのか?

現在、日本には盗撮そのものを処罰する法律はなく、各自治体が個別に迷惑防止条例などで盗撮行為を処罰の対象と定めています。

たとえば、東京都の場合、条例により、盗撮行為には1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習の場合には2年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰が定められています。

盗撮をして逮捕されたら

ドローン盗撮で捕まったら、すぐに刑務所に行くのか?

先にご紹介したとおり、盗撮には懲役刑のほかに罰金刑もありますし、懲役刑を選択された場合でも執行猶予が付く可能性もあります。

罰金刑ですむか、懲役刑になるとしても執行猶予が付くかということについては、余罪の有無、前科の有無などによりますので一概には言えませんが、初犯であれば直ちに刑務所に行くことにはならないでしょう。

ドローンで盗撮した画像をネット公開したら罪はさらに重くなるの?

盗撮した画像をネット上で公開した場合には、別の犯罪が成立する可能性があります。具体的には、画像の内容次第でわいせつ物陳列罪に該当するおそれがあり、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または懲役と罰金の併科刑に処せられる可能性があります。

また、被写体が児童(18歳未満の者)である場合には、児童ポルノ公然陳列罪に該当するおそれがあり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または懲役と罰金の併科刑に処せられる可能性があります。

ドローンで露天風呂を盗撮した場合はどのような罪になるの?

どのような罪に問われる可能性があるか

ドローンを利用して盗撮した場合、各自治体の定める迷惑防止条例等に違反し、懲役刑又は罰金刑に処せられる可能性があります。

盗撮に気づいてお湯をかけて壊してしまった場合、罪に問われる可能性はあるか

ドローンという他人の物を壊したわけですから、形式的には器物損壊罪が成立します。ただし、お湯をかけた行為は、盗撮という犯罪に対する防御として行われたものですから、正当防衛に該当し、違法性が阻却される(罪に問われない)可能性があります。

刑法でいう正当防衛は、「急迫不正の侵害に対して」「自己または他人の権利を防衛するため」「やむを得ずにした行為」をいいますが、盗撮行為が「急迫不正の侵害」にあたること、プライバシー権という「自己または第三者の権利を防衛するため」にお湯をかけたことは争いがないでしょう。

刑法でいう正当防衛は、「急迫不正の侵害に対して」「自己または他人の権利を防衛するため」「やむを得ずにした行為」をいいますが、盗撮行為が「急迫不正の侵害」にあたること、プライバシー権という「自己または第三者の権利を防衛するため」にお湯をかけたことは争いがないでしょう。

ドローンはどこでも勝手に飛ばしていいのか?

ドローンを利用するには、次の飛行禁止エリアや飛行に関するルールを守らなければなりません。

⑴飛行禁止空域

私有地であっても、

  • ① 空港等の周辺の上空の空域
  • ② 150m以上の高さの空域
  • ③ 人口集中区の上空

については、事前に国土交通大臣の許可が必要になります。

⑵飛行に関するルール

場所にかかわらず、

  • ① 日出から日没までの間に飛行させること
  • ② ドローン及び周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること
  • ③ 人または物件との間に30m以上の距離を保って飛行させること
  • ④ 祭礼、縁日、展示会その他多数の人が集まる催しが行われている場所の上空で飛行させること
  • ⑤ 易燃性のある物その他危険物を輸送しないこと
  • ⑥ 物を投下しないこと

といったルールを守らなければなりません。

もし、夜間飛行などをしたい場合には、安全対策を講じたうえで、事前に国土交通大臣の承認を受けなければなりません。

これらのルールに違反すると50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

なお、たまたま盗撮してしまった場合に罪になるかということについては、刑罰法規は原則として故意犯を処罰するもので、過失犯を処罰する特別な規定がない限り、過失で処罰されることはありません。

盗撮を処罰する迷惑防止条例には過失犯の処罰規定はないので、たまたま盗撮してしまった場合には、罪にならないと言えます。

ドローン盗撮で逮捕された場合にいち早く釈放されるには?

盗撮したことに間違いがなければ、素直に事実を認めた方がいいでしょう。

先にご説明したとおり、盗撮だけであれば法定刑はそれほど重いものではないため、初犯の場合で事実を認めているときは、逮捕されても勾留まではされない(48時間以内に釈放される)可能性が高いでしょう。前科があるなどの事情がある場合には、被害者との間で示談をすることも有効でしょう。

これに対して、盗撮の事実を争うような場合には、証拠隠滅のおそれがあるとの理由で勾留され、身柄拘束が長期化する可能性が高くなります。

ドローン盗撮で逮捕されたら弁護士に相談した方が良いのか?

弁護士に相談することをお勧めします。

たしかに、事実を認めれば短期間で釈放される可能性は高いのですが、それで事件は終結というわけではなく、後日、警察に呼び出されるなど、在宅の事件として捜査が継続され、その結果、罰金等の刑罰を受ける可能性があります。このような捜査に適切に対応するには、専門家である弁護士の助言をうけることが有益です。

また、被害者との間で示談ができれば、起訴猶予となり前科がつかずにすむ可能性もあるのですが、通常、盗撮の被害者は加害者に対して強い嫌悪感を抱いており、加害者自身で示談交渉をすることは難しい場合が多いといえます。弁護士に依頼をすれば、加害者自身が対応するよりもスムーズに示談交渉を行うことができます。

まとめ

以上、ドローン盗撮について整理しました。刑事事件は、対応を誤れば身柄拘束が長期化したり、前科がついてしまったりするおそれがあります。刑事事件でお悩みの方は、早急に弁護士に相談するといいでしょう。