もし身内が刑事事件で逮捕された場合はどのように行動すればいいのでしょうか。刑事事件で弁護士に依頼した場合のメリットも含めて考えてみましょう。

弁護人とはどのような人なのか?

弁護士は弁護士しかなることができない

刑事訴訟法で弁護人は弁護士の中から選任しなければならないと定められており、司法書士、税理士など他の士業は弁護人になることができません。

弁護人は被疑者・被告人の味方

弁護人は、被疑者(犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象となっており、まだ公訴が提起されていない者)や被告人(犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象となり、公訴を提起された者)の味方となって弁護活動をします。

被疑者や被告人はつらい立場に追い込まれる

被疑者・被告人は、犯罪の嫌疑が事実ではない場合には、無実であることを主張し、警察や裁判官に理解してもらう必要がありますし、仮に事実であったとしても、自分に有利な情状を主張して適切な結論を出してもらえるようにする必要がありますが、専門知識のない被疑者・被告人が十分な主張をできるとは限りません。
また、逮捕勾留といった身柄拘束を受けている場合には、肉体的、精神的な負担が一層大きくなります。

このように、被疑者・被告人は非常につらい立場に追い込まれてしまいます。

弁護人の仕事とは

弁護人は専門知識がありますので、刑事手続の流れの説明や取り調べに当たっての注意事項の説明など、様々なアドバイスをすることが可能です。身柄拘束されている事件については、弁護人の面会が制限されることはないので、精神的な部分も含めて被疑者の支えになることができます。
被害者のいる事件では、被害者との示談交渉を行い、被疑者・被告人に有利な結果となるように働きかけます。
また、警察や検察と交渉し、身柄拘束を阻止したり、公訴が提起された場合には、被告人に有利な情状を主張するなどして、少しでも被告人に有利な判決が出るよう活動します。

起訴と不起訴の違い

自分で手続きしようとすると高度な法知識が要求される

刑事事件において弁護人に認められることは、多くの場合、被疑者・被告人自身でも行うことができます。とはいえ、制度上可能ということと、実際にうまくできるかということは別問題です。弁護人と同じ活動をするには高度の法知識が必要であり、被疑者・被告人自身が行うことは難しいでしょう。
また、知識の問題だけでなく、例えば被害者との示談交渉が必要な場合、被害者が被疑者・被告人には連絡先を教えたくないが、弁護人だけには教えてもよいというような対応をされることもありますので、被疑者・被告人が完全に弁護人と同じ活動をすることはできないといっていいでしょう。

早期に弁護士をつけて、適切な弁護活動を行う

刑事事件では、場合によっては逮捕勾留という長期の身柄拘束を受ける可能性があります。勾留の延長も含めれば、公訴提起までに最大約23日間の身柄拘束が可能であり、それによって勤務先を解雇されるなど大きな不利益を被るおそれがあります。

このような長期にわたる身柄拘束を阻止するためには、早期に弁護人を選任し、適切な弁護活動をしてもらう必要があります。

逮捕前に弁護士に依頼するメリット

事件化阻止

被害者のいる事件については、被害者と示談をし、被害届を提出しない旨の文書を作成することで、事件化を阻止することができます。被害届を出さないという文書に法的拘束力はないので、被害者が態度を変えて被害届を出すことは可能ですが、通常は警察の方で積極的に事件化することはありません。

逮捕阻止

事件がされたとしても、すべての刑事事件で被疑者が逮捕されるわけではありません。弁護士が警察と交渉し、逃亡のおそれがないこと、被疑者は反省しており証拠隠滅のおそれがないことを主張して、逮捕せずに在宅で捜査を進めてほしい要望し、それが認められることもあります。

逮捕日の調整

逮捕が避けられない場合でも、弁護人の交渉により、逮捕日を調整することができる場合もあります。それによって、身辺整理をしたり、有給休暇をつかって逮捕勾留を乗り切ることで解雇を避けたりすることができる場合もあります。

勾留阻止

逮捕されてしまった場合には、勾留を阻止するための弁護活動を行います。検察官に対し、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを明らかにして、勾留請求をしないよう求めたり、検察眼科勾留請求をした場合には裁判官に対して、勾留請求を却下するよう働きかけたりします。

まとめ

以上のように、刑事事件では弁護人を依頼することに様々なメリットがあります。

刑事事件は時間との戦いでもあり、早期に適切な対応をすることで身柄拘束を避けることができる場合もありますから、万一ご自身やご家族が刑事事件に巻き込まれてしまったら、できる限り早い段階で弁護士に相談するようにしましょう。