傷害事件が発生した場合、被害者は被害届を提出することになります。また被害届のほかに、供述調書が必要になることもあります。被害者が被害届を提出しなかった場合は、厳重注意で終わることもあるのです。

傷害事件・暴行事件での被害届の提出

傷害事件・暴行事件は親告罪ではない

告訴がなければ起訴することができない犯罪を親告罪といいますが、傷害罪・暴行罪は親告罪ではありません。
そのため、被害者が被害届を提出したり、告訴をすることが不可欠というわけではありません。

被害届の代わりとなる供述調書が必要となる

被害届の提出を受けると、捜査機関は捜査を開始します。被疑者の取調べを行った場合には、供述調書が作られます。もっとも、被疑者の供述調書はあくまで被疑者の言い分ですから、必ずしも真実とは限りません。被害者の言い分や目撃証言など他の証拠と照らし合わせて、真実を明らかにしなければなりません。
被害届には、被害にあった日時、場所、被害の概略などが簡潔に記載されるだけですから、被害を受けた経緯、被害を受けた状況など詳しい事情を明らかにするために、被害者の供述調書も必要となります。

被害者が被害届提出を拒んだ場合は厳重注意で終わることも

傷害事件で被害者が被害届の提出を拒んだ場合

傷害罪が親告罪でないといっても、被害者の意向を全く考慮しないというわけではありません。被害者が被害届の提出を拒んだ場合には、刑事事件として立件されず、厳重注意で終わる場合もあります。

被害者が現場から立ち去ったような場合

被害者が現場から立ち去った場合、被害者や被害状況の特定ができないので、そのままでは刑事事件として立件することはできません。事案の内容によっては、被害者や目撃者を探すことになります。

傷害事件で被害届を提出すると即逮捕されるのか

被害届を提出しても即逮捕にはならない

すべての傷害事件で被疑者が逮捕されるわけではありません。事案の軽重(暴行の態様、負傷の程度など)、被疑者と被害者と関係(見ず知らずの他人か、親しい間柄かなど)、被疑者の属性(前科の有無など)などを考慮して、逮捕の必要性が検討されます。

双方が被害届を提出した場合

けんかのように双方が負傷し、双方が被害届を提出することもあります。
このように、一方が加害者、他方が被害者と一概には言えないような場合には、双方が逮捕されることもあります。

被害届の提出に期限はあるのか

被害届の提出に期限はありません。ですから、被害を受けた直後ではなく、後日提出しても構いません。
ただし、傷害罪、暴行罪にも時効がありますし、長期間が経過すると証拠の収集が難しくなります。ですから、期限がないとはいえ、早めに提出するのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

傷害罪・暴行罪の被害届について紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
傷害・暴行の被害に遭ってしまった場合には、今回ご紹介した知識を活用し、適切に対応するようにしましょう。
なお、逮捕されてから勾留されるまでの間は、弁護士以外の者との面会は認められません。ですから、万一、ご家族などが逮捕されてしまった場合には、急いで弁護士に相談するといいでしょう。