もし喧嘩をして逮捕されたり、慰謝料請求された場合、どうすればよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

喧嘩の慰謝料請求

喧嘩で巻き込まれ慰謝料請求されることも

喧嘩が身近なところで発生した場合、思わぬ飛び火を受けることがあります。仲裁に入っただけでも、喧嘩しているとして逮捕されることもあれば、喧嘩の結果、被害者がケガを負ったとして、刑事罰とは別に、被害者から慰謝料を請求されることもあります。そして被害者に後遺症等が残っていると、その金額は決して安いものではない、ということになります。

自分も喧嘩で怪我をした場合は慰謝料請求できるのか

喧嘩で自分も怪我を負ったという場合、被害届を警察に出すことは可能です。しかし、相手方も被害届を出しているような場合に、民事不介入を原則とする警察がどの程度積極的に動いてくれるのか、という点は非常に不透明です。仮に、警察が動いたとして、傷害罪・暴行罪の適用が考えられますが、双方ともに怪我をしているような場合については(もちろん、怪我の度合いに著しい差があれば話は別ですが)、基本的には略式起訴で罰金、というのが精一杯、といったところでしょう。

慰謝料請求は民事上の手続なので、行うこと自体は自由です。もっとも、この場合でも、相手方の怪我次第では、損害のところで相殺されることになり、相当少額になることが考えられます(この場合も怪我の程度に著しい差があるようなときは別です。)。

どちらが加害者か被害者か

喧嘩において、どちらが加害者、被害者なのかというのは、一概には決めることができません。極端な話、当事者両方が怪我をしているようなときには、その両方が警察に被害届を出すことができます。

被害届を受理した上で、警察が事情を双方から聴き、喧嘩の発端や、喧嘩の態様、双方に生じた怪我の大きさ等を加味して、警察としての事実を認定していきます。原因が明らかに一方にある場合、怪我が明らかに一方にのみ過大に、かつ意図的に生じている場合には、加害者・被害者という認定がされやすく、そうでない限りは、刑事事件としては立件しにくい、ということになるでしょう。

高額な慰謝料を請求された場合

喧嘩が相手に怪我を生じさせてしまったとしても、その全ての責任が加害者に課されるかといえば、ケースバイケースになります。仮に、喧嘩をしてしまったとして、被害者(と主張する人も含みます。)からとても払えない様な額の慰謝料請求(裁判に限らず、内容証明郵便が届いた段階でも構いません。)を請求された場合、まずは弁護士に相談するべきでしょう。

場合によってはこの段階で弁護士に間に入ってもらう方が良いかもしれません。少なくとも、相手方に請求額の根拠を聞き、その上で妥当な金額がいくらなのかを算出してもらうべきです。

喧嘩・暴行罪の示談金の相場

示談金とは、その問題の解決金、という意味です。慰謝料というのは問題となる事件について、被害者が被った精神的・身体的なダメージについての損害金、ということになります。示談金を被害者との間で決定する、ということは慰謝料も含めて、問題となった事件について当事者が合意した、ということになります(基本的に、示談書の中で、清算条項、つまり、当事者間では問題となった件について何らの債権・債務がないことを確認する、といった文言を挿入することになります。)。示談金の相場は基本的にはありません。

当事者の被害感情・怪我の大きさ・双方が怪我をしているような等を踏まえ、当事者が納得し、合意を形成した額が示談金、ということになります。単に損害の大きさだけではなく、感情面の問題もありますので、相場が●●円!と断言することはできません。

もちろん、双方の合意が前提にある金額にはなりますので、保険会社や相手方からの提示については減額交渉を行うことは十分にあり得る話です。もっとも、交渉に際しては、ある程度確かな根拠がなければ、ただの言いがかりになってしまい、余計に相手の感情を逆なでする結果になりかねません。弁護士に依頼し、ある程度の根拠を持って、減額請求を行うべきでしょう。

喧嘩で逮捕されて刑を軽くするためには

被害者と示談することが最も有効

逮捕されてしまった場合、被害者との示談は非常に有効です。つまり、被害者との間で示談を成立させ、示談内容に例えば被害届の取り下げ、あるいは赦免状の執筆といった条件を盛り込むことができれば、被害者の処罰感情なし(あるいは低い)、と評価され、不起訴となる確率が非常に高まります。早期の身柄開放(保釈等)を考えても示談することは有益です。

もっとも、刑事裁判確定前の示談にはこれだけのメリットがあることは、当然被害者も認識しています。

つまり、被害者としては、「示談してあげる」ということを大義名分に、示談金を吊り上げることが可能です。刑事判決確定前の示談は、傾向としては高額になりやすいことは認識しておく必要があります。特に起訴後、保釈の成否にかかわるような場合、起訴はされてしまっていることも踏まえて、交渉すべきです。

まとめ

このように、喧嘩に巻き込まれ、逮捕などという話になると、必ず、示談という話が出てきます。適切な額で適切な時期に示談するためには、やはり刑事事件に強い弁護士を使用することが必須でしょう。

逮捕後の示談のみならず、単に慰謝料を請求された様な場合についても、その額が適切なのかどうか、こちらも怪我を負ったというような過失相殺、あるいは態様に関する主張ができないか、等自身にとって有利な結論を導くべく、弁護士に相談することは有用です。