ドローンで逮捕された場合、どのような刑罰があるのか。これからも増えていくドローンに関する刑事事件について詳しく見ていきましょう。

ドローン操縦で捕まり刑務所に行くことはあるの?

刑務所に行くことがあるかどうかは、一概には言えません。

一口にドローンで逮捕と言っても、航空法などドローン自体に関する規制に違反した場合もあれば、ドローンを利用することで刑法その他刑罰法規に違反することもありますので、事案によって法定刑の重さに差があるからです。

また、刑罰の重さは、前科の有無、被害者のいる事件の場合には示談の成否などにも大きな影響を受けます。

したがって、逮捕されて刑務所に行くかどうかは事案によると言わざるを得ません。

もっとも、一般論としては、軽微な犯罪に該当し、前科もないような場合には、刑務所に行く可能性は低いといえるでしょう。

ドローンで低空飛行をしたら逮捕されるの?

ドローンの飛行に関しては、①空域による規制、②飛行方法による規制の二種類の規制があります。

まず、①空域による規制としては、空港等の周辺の上空の空域、人口集中地区の上空などでは、安全性を確保し、国土交通大臣の許可を受けなければドローンを飛行させることはできません。

また、②飛行方法に関する規制の一つとして、人または物件から30m以上の距離を保って飛行させなければならないとされており、この規制を免れるには、安全帯宅を講じたうえで、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。

したがって、ドローンを低空飛行させた場合、飛行させた空域によっては①の規制に、人または物件(第三者の建築物等)から30m以内の低空を飛行した場合には、②の規制に該当することになります。

これらの規制に反した場合、50万円以下の罰金に処すると定められており、逮捕される可能性も否定できません。

ドローン操作による電波障害で罪に問われることはあるのか?

ドローンは、変電所や携帯基地局など強い電波を発している場所の付近で飛行させた場合、電波障害によりコントロールできなくなる可能性があります。

その結果、ドローンが人を傷つけたり、建物その他第三者の所有する物を損壊してしまった場合には、傷害罪・過失傷害罪(業務として行っていた場合にはより罪が重い業務上過失致傷罪)、器物損壊罪などが成立する可能性があります。

また、刑事上の責任だけでなく、民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。

ドローンで鉄道や新幹線の走行妨害をした場合に逮捕されるのか?

故意に鉄道や新幹線の走行を妨害した場合、電車の往来の危険(衝突、脱線など交通の安全を害するおそれのある状態)を生じさせたとして、往来危険罪が成立する可能性があります。往来危険罪は、公共交通機関の乗員、乗客の生命、身体に対する危険を生じさせる重大な犯罪ですから、2年以上20年以下の懲役という重い刑罰が定められています。

また、刑事裁判では原則として故意犯のみが刑罰を受けるのですが、往来危険については過失を処罰する規定があるため、過失により往来の危険を生じさせた場合には、30万円以下の罰金に処せられます。

さらに、高速度で走行する新幹線については特別の規定があり、運行の妨害となるような方法で、物件を新幹線の線路(軌道の中心から幅3m以内)に置くこと、またはその類似行為が処罰の対象とされ、1年以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられることになっていますから、ドローンを新幹線の線路で飛行させた場合、往来の危険が生じなくても、この規定により処罰される可能性があります。

ドローン操縦が原因で逮捕されたら、どうすればいいの?

ドローンに限ったことではありませんが、事実に間違いがないなら、取り調べで正直にすべてを話した方が早期の身柄の解放や処分の軽減につながりやすいといえるでしょう。

また、成立する犯罪の種類によっては、被害者との示談交渉が必要になることもあります。事案によっては、示談が成立すれば起訴猶予となり前科が付かずにすむこともあるのです。

もっとも、本人に代わって親族等が示談交渉をすることは、現実的には難しいでしょう。知識、経験がないと、被害者とどう交渉していいのか、どの程度の示談金が妥当なのかの判断もできませんから、被害者を怒らせてしまったり、法外な金額を要求されてしまう可能性もあります。

ですから、専門家である弁護士への相談を検討した方がいいでしょう。

ドローンで下着泥棒した場合はどのような罪になるの?

民家に侵入した場合、罪に問われるのか?窃盗罪と住居侵入罪にあたるのか。

民家などの敷地内に入り、干してあった下着を盗んだ場合、通常は住居侵入罪と窃盗罪を構成することになります。

ただし、住居侵入罪(刑法130条)の規定は、正当な理由がないのに人の住居に侵入した者を処罰すると定めており、人が立ち入ることを想定した規定になっています。

したがって、ドローンだけが他人の住居の敷地内に入り、操縦者は離れたところにおり、敷地内には立ち入っていないような場合には、住居侵入罪には該当しないでしょう。

他方、窃盗罪については、他人の財物を窃取(他人の占有する物を、占有者の意思に反して、自己または第三者の占有に移すこと)を要件としており、手段は問われていないので、ドローンという道具を用いて他人の占有する下着を自己の占有下に移したと評価できるので、窃盗罪が成立するでしょう。

ドローンで盗撮して逮捕された場合

まとめ

以上、ドローンについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

犯罪が成立するか微妙な事案や、犯罪が成立としてもどの犯罪に該当するかが微妙な事案もあり、一般市民にはなかなか理解しにくいところもあると思います。

また、ドローンについては法整備が遅れていたこともあり、近時、様々な規制がされるようになり、今後もあらたな規制がされる可能性は十分にあります。

したがって、最新の知識が必要になりますので、素人判断は非常に危険です。

ドローンに関する問題、その他刑事事件に関することでお悩みの方は、弁護士に相談することをお勧めします。