交通事故で3ヶ月通院した場合の慰謝料の相場はいくら?

交通事故で怪我をしたときに受け取ることができる通院慰謝料の相場は、通院した期間によって変わり、通院した期間が長ければ長いほど慰謝料が増額するのが一般的です。

一方の相手方の保険会社は、治療の期間をなるべく短く抑えたいと考えています。そこで、保険会社は1か月、3か月、6か月を基準に被害者に治療の打ち切りを通告する目安にしていると言われています。

さらに、交通事故の慰謝料には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」という3つの基準があります。

「自賠責保険基準」とは、交通事故被害者に対して最小限の補償をするための自賠責保険で定められている基準で、3つの基準の中では最も低額です。
「任意保険基準」とは、各保険会社が社内で有している基準です。保険会社が治療の交通事故の被害者に治療の打ち切りを通告し、示談を求めてくるときの示談金は「任意保険基準」が元になっています。「任意保険基準」は「自賠責保険基準」よりは高額ですが、「弁護士基準(裁判基準)」よりは著しく低い金額です。
そして、3つの基準のなかでもっとも高額なのが、「弁護士基準(裁判基準)」です。「弁護士基準(裁判基準)」とは、過去に裁判まで発展した交通事故事件における裁判所の判断が蓄積されて形成された基準です。被害者本人が保険会社と交渉を行う段階では、「任意保険基準」でしか示談することができません。「弁護士基準(裁判基準)」で示談を行うためには、弁護士に保険会社との交渉を依頼することが不可欠になります。

この記事では、通院期間によって慰謝料がどのように変わるのか、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」それぞれについて解説します。

自賠責保険基準

自賠責保険基準は国土交通省と金融庁が平成13年(2001年)に定めた「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」という文書で明確に定められています。それによると、慰謝料は
・実際に治療を行った日数の2倍
・通院期間
のいずれか少ない方に、日額4,200円をかけて算出されます。

つまり、2日に1回以上のペースで通院していない限り、実際の治療日数に4,200円をかけた金額が支払われることになります。

たとえば、3か月間(90日間)通院した場合で、その間に30日間病院で治療を行った場合には、通院日数よりも実際に治療を行った日数の方が少ないので、30日の方が基準となります。そこで、30の2倍に4,200をかけ、252,000円が慰謝料として支払われます。

任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が独自に基準を定めていますが、一般的には次の表をもとにして算定されていると言われています。

任意保険基準の慰謝料相場
通院月数 通院慰謝料 通院月数 通院慰謝料
1か月 126,000円 6か月 642,000円
2か月 252,000円 7か月 706,000円
3か月 378,000円 8か月 768,000円
4か月 478,000円 9か月 820,000円
5か月 568,000円 10か月 870,000円

これによると、通院期間が3か月での慰謝料の金額は378,000円となります。任意保険基準では自賠責保険基準と異なり通院期間のみが基準とされ、実際に何日通院したかは考慮されません。

弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準(裁判基準)による慰謝料の基準は、日弁連交通事故相談センターが出版している『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)』という書籍に掲載されているものが実務上で使用されています。「赤い本」による基準は以下のとおりです。

弁護士基準(裁判基準)の慰謝料相場
通院月数 通院慰謝料 通院月数 通院慰謝料
1か月 280,000円 8か月 1320,000円
2か月 520,000円 9か月 1390,000円
3か月 730,000円 10か月 1450,000円
4か月 900,000円 11か月 1500,000円
5か月 1050,000円 12か月 1540,000円
6か月 1160,000円 13か月 1580,000円
7か月 1240,000円 14か月 1620,000円

これによると、通院期間が3か月での通院慰謝料は、730,000円となり、任意保険基準と比べると被害者が受け取ることができる慰謝料は約2倍になります。

むち打ちの場合は計算方法が違うので注意!

ここまで説明した慰謝料の基準は、骨折など他覚所見が見られる場合の基準です。他覚所見とは、怪我をしていることがレントゲンなどにより客観的にわかる状態のことをいいます。

一方で、交通事故でよく見られる症状であるむち打ちの場合には、通常、他覚所見が見られません。むち打ちでは被害者自身の「首に痛みがある」「痺れがある」といった自覚症状によって怪我の状態が判断され、通院が行われます。これを自覚症状といいます。

むち打ちで自覚症状だけを理由として通院をする場合には、他覚症状がある場合よりも約7割程度まで減額された基準が用いられることになりますので、注意が必要です。

交通事故で6ヶ月通院した場合の慰謝料の相場はいくら?

続いて、交通事故で6か月通院した場合の慰謝料の相場について解説いたします。用いられる基準は3か月の場合と同じですので、基準に関する解説は省略いたします。

自賠責保険基準

慰謝料は、3か月の場合と同様に
・実際に治療を行った日数の2倍
・通院期間
のいずれか少ない方に、日額4,200円をかけて算出されます。

6か月間(180日間)通院した場合で、その間に60日間病院で治療を行った場合には、通院日数よりも実際に治療を行った日数の方が少ないので、60日の方が基準となります。そこで、60の2倍に4,200をかけ、504,000円が慰謝料として支払われます。

任意保険基準

3か月の場合と同様に、以下の表を基準として慰謝料が算定されます。

任意保険基準の慰謝料相場
通院月数 通院慰謝料 通院月数 通院慰謝料
1か月 126,000円 6か月 642,000円
2か月 252,000円 7か月 706,000円
3か月 378,000円 8か月 768,000円
4か月 478,000円 9か月 820,000円
5か月 568,000円 10か月 870,000円

これによると、通院期間が6か月での慰謝料の金額は642,000円となり、通院期間が3か月の場合と比べると264,000円増額することになります。

弁護士基準(裁判基準)

3か月の場合と同様に、「赤い本」に掲載されている以下の表を基準として慰謝料が算定されます。

弁護士基準(裁判基準)の慰謝料相場
通院月数 通院慰謝料 通院月数 通院慰謝料
1か月 280,000円 8か月 1320,000円
2か月 520,000円 9か月 1390,000円
3か月 730,000円 10か月 1450,000円
4か月 900,000円 11か月 1500,000円
5か月 1050,000円 12か月 1540,000円
6か月 1160,000円 13か月 1580,000円
7か月 1240,000円 14か月 1620,000円

これによると、通院期間が6か月での通院慰謝料は、1,160,000円となり、任意保険基準と比べると被害者が受け取ることができる慰謝料は518,000円増額します。通院期間が3か月の場合と比べると430,000円増額することになります。

通院日数が少ないと慰謝料が減らされるって本当?

すでに説明したとおり、任意保険基準と弁護士基準(裁判基準)では、通院期間のみが基準とされ、実際に何日通院したかは問題とされていませんでした。

では、通院期間中の通院日数は慰謝料の算定にあたって全く問題とされないのでしょうか。

たとえば、3か月で60日間通院する場合と、6ヶ月で60日間通院する場合では、通院期間に差はあれど、通院日数自体は同じです。この場合、3か月で治療が終了したからといって6か月のときより慰謝料が減額するのであれば不平等にも感じられないでしょうか。

また、一度通院をやめてしばらくして再開したときはどうでしょうか。この場合、通院を始めた日と終えた日を基準として計算すると、通院期間が不当に長くなってしまうことになります。そこで、通院の頻度が少ない場合には慰謝料が減額されてしまうことがあります。

たとえば、1か月に2、3回程度しか通院していない場合や、治療というよりも検査や治癒経過観察の意味合いが強いと判断されてしまった場合には、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料が計算されることが多いようです。この基準で算定では、通院期間がどんなに長くても実際に治療を行った日数を元に慰謝料が計算されることになります。

では、通院期間に比べて通院日数が少ないと判断されてしまわないためには、具体的にどれくらいの頻度で通院しなければいけないのでしょうか。

明確な基準があるわけではありませんが、一般的には概ね2日に1日程度のペースが適当であると考えられています。というのも、自賠責の基準で実際に治療を行った日数の2倍と通院期間のいずれか少ない方を基準とされていることからも、交通事故による通院の頻度は2日に1日程度が妥当と考えられていると判断できるからです。

そうはいっても、本当は痛みがないにもかかわらず、慰謝料を受け取る目的で通院を続けることはよくありません。いくら自覚症状からしか判断できない場合であっても、治療行為のプロである医師であれば本当に痛みがあるのかどうかは判断できるものです。また、後に裁判によって保険会社から治療の必要性を争われたり、場合によっては慰謝料を騙し取ろうとする詐欺行為であると判断されてしまうおそれがあります。あくまで治療に必要な範囲内で通院を行うようにしましょう。

まとめ

このように、交通事故で怪我を負ったときに受け取ることができる慰謝料は通院期間や弁護士に依頼するかどうかによって大きく異なってきます。交通事故にあったときに弁護士に依頼することをお勧めする理由は主に3つあります。

一つは、すでに説明したとおり、弁護士に依頼するだけで「弁護士基準(裁判基準)」による交渉が可能になるからです。任意保険基準と弁護士基準では慰謝料の基準が倍近く違います。もちろん弁護士に依頼するための費用がかかりますが、弁護士費用で足が出るようなケースはまずありえません。また、任意保険の弁護士費用特約が使える場合には、負担ゼロで弁護士に依頼することができます。

しかも、弁護士費用特約を使ったとしても保険等級が下がって翌年からの保険料が下がることはありませんので、弁護士に依頼することによるデメリットは全くありません。弁護士費用特約は家族や同乗者の保険に付いているものが使える場合がありますので、使えるかどうかわからないときには保険会社や弁護士に確認をしてみるとよいでしょう。

弁護士に依頼した方がよいもう一つの理由は、治療に関するアドバイスを受けられる点です。慰謝料を多く受け取るためには、なるべく長い期間にわたり、一定以上の頻度で通院を行う必要があります。通院を続けるには医師の協力を要することもあるため、交通事故に協力的な医師のところに転院した方がよいケースもあります。交通事故に力を入れている弁護士であれば、治療段階から慰謝料増額のためのアドバイスを行ってくれます。

3つ目の理由は、面倒な保険会社とのやり取りを行わなくて済むことです。保険会社の担当者は交通事故のプロですので、自分たちが提示した示談金が正当な金額であることを言葉巧みに説明してくるでしょう。度重なる交渉に精神的に疲弊してしまう方も少なくありません。弁護士に依頼することで、保険会社との交渉を全て弁護士に任せることができますので、煩わしいやり取りから解放されることができます。

「弁護士は敷居が高い」「交通事故で弁護士なんて大げさなのではないか」などと感じる必要は全くありません。不幸にも交通事故の被害に遭ってしまった方は、事故によって被った損害について正当な補償を受ける権利を有しているのですから、自分の権利を主張することに後ろめたさを感じる必要はないのです。

交通事故被害者からの相談は無料で受けている弁護士も多くいますので、「とりあえず一度話を聞いてみよう」というような気軽さで弁護士に相談されることをお勧めいたします。