保険会社から提示された慰謝料に納得がいかない、慰謝料が少ない気がする、このまま話を進めてもいいのかわからない…。保険会社から提示される慰謝料の金額は、低い額で提示されることがほとんどです。
では、納得のいく慰謝料金額にするためにはどうしたらいいのでしょうか?
今回は、慰謝料に納得いかなかった場合の対処について解説します。

慰謝料の金額が低くなるのは何故?

自賠責基準で計算されている

慰謝料の額の計算方法には3つの計算方法があり、自賠責基準 < 任意保険会社基準 < 弁護士基準となります。保険会社としては低額で示談してくれるに越したことはないので、まずは自賠責基準で計算した金額を提示することになります。それゆえ、慰謝料額が低額となるのです。

入通院日数自体が少ない

入通院慰謝料の額は入通院期間をベースに算定されるためその期間が少ないのであれば、どの基準で計算しても大きな金額になることはありません。したがって、入通院期間が少ないので慰謝料額が低額となっている場合もあります。

後遺障害がない

交通事故の損害賠償実務では、後遺傷害は自賠責保険金を損害保険料率算定機構に請求する際に受ける審査により第1級から第14級までの等級を付した後遺傷害等級により、その有無が決定されます。後遺傷害等級があるかないかは、逸失利益の有無等にもかかわり損害賠償額の増額に大きく関与するのですが、後遺障害慰謝料の額自体も無視できるものではありません。したがって、後遺傷害がないというのは慰謝料額が大きくならない原因となります。

弁護士基準で計算して!と言えば慰謝料の額が高額になるの?

もともと保険会社から損害賠償金を支払ってもらうためには保険会社との間で示談が成立することが前提となります。そして、示談は「契約」であるため保険会社と被害者が損害賠償額等について合意する必要があります。そうであるならば、被害者が前記の弁護士基準で計算することを主張したところで、保険会社がその主張を受諾しなければ、損害賠償について合意することはありませんので、弁護士基準で計算した金額を支払ってもらえることにはなりません。

しかし、被害者が裁判を起こすということになれば、話は別です。なぜなら、裁判を起こしたことにより、保険会社には以下の付加的な支払を余儀なくされるおそれがあるからです。

  • ・交通事故時から支払時までの利息(年5%)
  • ・弁護士が代理人の場合には弁護士費用(損害額の10%)
  • ・弁護士基準による賠償額の計算

保健会社に対し、被害者が裁判を起こすおそれが高いと判断されると、保険会社は弁護士基準で計算した示談額を提示するようになります。
しかしながら、個人が弁護士なしで裁判を起こすのは非常に面倒です。まず、平日の昼間に裁判所に出廷しなければなりません。加えて、複雑で大量の書面を裁判所に提出しなければなりません。このような面倒なことをあえてやる覚悟があるのであれば、弁護士基準で保険会社に請求したら、その基準で計算した金額で支払ってもらえる可能性が高いです。

慰謝料の金額に納得がいかない場合、どうしたらいいの?

上記のとおり、保険会社の提示額に納得がいかない場合には、裁判をするのが一番シンプルです。しかしながら、裁判には時間と労力が非常にかかります。そこで、弁護士に依頼して裁判を起こしてもらうことをお勧めします。なお、仮にあなたが任意保険に加入していて、その保険にいわゆる弁護士特約が付保されている場合には、弁護士費用はその保険から支出されることになりますので、あなたの持ち出しはありません。加えて、保険会社によっては弁護士をあっせんしてくれる場合もあります。このような場合にはあとは弁護士に任せておけば大丈夫なのです。

まとめ

以上のとおり、保険会社の慰謝額の提示に納得がいかない場合には、弁護士に依頼して裁判を提起してもらうのが、賠償額を高額化する一番の近道です。そして交通事故に強い弁護士であれば、直ちにこのような動きをしてくれるものと思いますので、このような弁護士に依頼するのがよいでしょう。