交通事故の慰謝料は誰に相談したらいい?

交通事故の慰謝料とは

交通事故における慰謝料とは、典型的には、交通事故により生命・健康を害されたことにより、入通院を余儀なくされたり、後遺障害が残存してしまったことによる精神的な苦痛を金銭に評価したものです。とはいえ、精神的な苦痛の度合いは人それぞれのため交通事故賠償の実務においては、慰謝料は損害の項目ごとに定型化されています。例えば、自賠責の基準のように通院1回あたり4,200円のように一定の基準が設けられています。

ところが、保険給付の場合であれば、ほぼ絶対的な基準で処理することでも構わないのですが、交通事故の賠償のような民事賠償の場合に、そのような硬直化した方式では、適正妥当な解決を導くことはできません。そこで、交通事故の実務では、慰謝料については一定の枠は設けつつも、事案によっては増額できることとし、適正妥当な解決できるようにしているのです。

慰謝料の問題を誰に相談するべきか

このような交通事故賠償の慰謝料の定め方からすると、法律及び交通事故賠償の専門家でない限り、妥当な慰謝料を判断することは難しいといえます。そこで、まずは、弁護士会が主催する無料の法律相談に行かれることをお勧めします。東京・大阪では弁護士会が主催して無料の法律相談(1回30分程度)を行っています。そこでは一定の慰謝料の判断枠組みについての説明を受けつつも、弁護士が聞き取った事案を分析して慰謝料の増額事由がないかを判断してもらえます。

ところで、保険会社に判断を求める方法もなくはないのですが、加害者側の保険会社は、賠償金額を下げるために交渉をしていることから、あてにはなりません。他方、自らが任意保険に加入していて、その保険会社に尋ねる方法ですが、保険会社は賠償保険金を支払うために賠償すべき相手方と示談交渉をすることはできるのですが、そうではない場合には、示談交渉をすることはできません。弁護士法違反行為となります。したがって、法律及び交通事故賠償の専門家である弁護士に相談すべきなのです。

交通事故の慰謝料を弁護士に相談するべき理由

交通実務の損害賠償実務において、損害賠償額の基準は、大きく3つあります。低い方から説明します。

まず、自賠責の保険の基準(自賠基準)、これは、自賠責保険金を支払うために法律により定められた基準です。例えば、通院慰謝料は上記のとおり1日4,200円です。次に任意保険会社の基準(任意基準)、これは、損害保険会社ごとに定められている基準で、公表されていませんが、後述する裁判基準の7割程度といわれています。最後に、裁判基準です。いわゆる赤い本等で示されている基準で、損害賠償請求訴訟を提起した場合にいくらの慰謝料が請求できるかについての基準です。これが一番高いです。

例えば、通常基準と呼ばれる基準ですと、1週間に3回程度の通院を1か月にわたり交通事故により余儀なくされたとすると、28万円になります。例えば自賠責保険の基準で、28万円に達するには、280,000÷4200=約67日程度通院しなければならず、2か月以上毎日通院をしなければこの額に達しません。その意味で裁判基準は慰謝料の増額において大きな意味をもつのです。

そして、訴訟ということになると、通常は法律の専門家である弁護士です。弁護士が裁判基準を用いた賠償額を算定し、場合によっては訴訟により解決できることを背景に、裁判基準での慰謝料の合意を勝ち取ることができるのです。したがって、交通事故の慰謝料についての相談は弁護士にするべきなのです。

裁判するの?あまり大ごとにはしたくないんだけど……

弁護士に相談したからといって必ず裁判をするわけではありません。むしろ、裁判をせずに示談交渉で解決するケースの方が多いともいえるのです。

そして重要なことは弁護士といえども依頼者の意向は無視できません。依頼者が裁判をすること望んでいないのに、無理やり裁判を提起することは、契約違反になりますし、場合によっては知弁護士会からの処分の対象になります。したがって、弁護士=裁判ではありません。依頼者の望む解決方法をとりますので、ご安心ください。

日弁連交通事故相談センターと弁護士事務所、何が違うの?

日弁連交通事故相談センターとは、日本弁護士連合会が母体となり、交通事故の相談、示談あっせんを行う機関です。

他方、弁護士事務所は、交通事故の相談を受ける点は同一ですが、依頼者の代理人として相手方と交渉にあたりますので、示談あっせんは行えません(利益相反となってしまいます。)。

そして、日弁連交通事故相談センターは、単に一般的な相談にとどまり、訴訟などを委任することはできません。その場合には個々の弁護士との間で訴訟委任契約を行います。他方、弁護士事務所に相談する場合には、相談に加えて訴訟等を委任することができます。

弁護士と話したことが無いから緊張する!

弁護士事務所は、通常、1名から数名の事務員さんがおり、この方が電話応対をしています。ですので、電話をしていきなり弁護士が出てくるということはありません。さらに、現在は、いわゆるメール相談もありますので、気を楽にして相談していただければと思います。

初回無料相談を利用したい

交通事故の初回相談は通常は30分です。30分で自己紹介をして、交通事故の説明をして(又は弁護士からの聞き取り)を経て、交通事故の処理についてのアドバイスを受けられることになりますので、時間はあまりありません。そのため、相談の前に交通事故に関する下記のような資料を用意していただく必要があります。

  • ①交通事故証明書…当事者、交通事故の日時場所、自賠責保険の加入の有無が判明します。
  • ②車検証・修理費の見積り等・代車料の請求書…物損を請求するときに資料として用います。
  • ③警察の実況見分調書又は交通事故の状況を図で示した書類(様式は任意です。)…交通事故の状況を明らかにすることにより過失割合等が判明します。
  • ④交通事故日~入通院の日数を示した時系列表(様式は任意です。エクセル表で作成すると便利です。)…入通院期間を算定することで入通院慰謝料算定の基礎とします。
  • ⑤通院する際の交通費に関する例えばタクシーの領収書…通院交通費を請求する際に使用します。
  • ⑥(相手方保険会社から賠償提案があった場合)示談案及び後遺障害認定結果表(後遺障害がある場合又は後遺障害の申請をしたが、「非該当」であった場合)…主として後遺障害慰謝料を算定する場合に使用します。
  • ⑦(人身傷害保険に加入している場合)保険契約の内容…相手方の状況(例えば無保険)によっては、人身傷害保険を用いることで損害がカバーできるかもしれませんので、持参されることをお勧めします。
  • ⑧その他(相手方又は相手方保険会社の対応について思うことがある場合のメモ)…慰謝料の増額事由があるかについて検討します。

慰謝料について相談する際に必要なもの

慰謝料について相談する際に必要なものといっても、結局交通事故全般について相談しない限り、妥当な判断はできませんので、結局上記の資料をそろえていくのがベストです。

まとめ

以上のとおり慰謝料を含めて交通事故賠償については弁護士に相談するべきですが、相談相手についてご心配があるのであれば、できれば交通事故に強い弁護士に相談されることをお勧めします。