コンビニ離婚とは、コンビニやスーパーで買った総菜やお弁当ばかりが食卓に出ることを原因とする離婚のことです。食卓に総菜が出ること自体は珍しくはないでしょう。タイムセールだった、本日の広告の品だった、疲れていた…理由は色々あるでしょうし、常に全部手作りというのは無理な話。でも、度が過ぎれば離婚の危機にもなるかも?今回は、そんなコンビニ離婚について解説します。

コンビニの総菜が食卓に出ることを理由に離婚できる?

コンビニやスーパーの総菜やお弁当などが食卓に出ることが多いといっても事情は様々でしょう。仕事が忙しかったり、外出から帰ってくるのが遅くなって食事を作る時間がないこともあるでしょうし、そのようなときに総菜で簡単に食事の準備を済ませることもやむを得ないこともあります。

そのような事情がないのに、食事の準備が面倒だというだけの理由で総菜に頼ることは、特に専業主婦の場合にはよく思われないかもしれませんが、単に食事をコンビニなどの総菜で済ませるということだけでは離婚原因にはならないでしょう。

ただし、自宅で食事を作らずに総菜で済ませることが多くなるとどうしても食費が高くつくことにはなります。その家庭の収入によっては生活費に占める食費の割合が高くなって、家計を圧迫することになるかもしれません。食事を総菜で済ませることが多いために家計が厳しくなるということであれば、家計の管理能力に問題があると評価されることにもなりますし、専業主婦の場合には家事が仕事になるわけですから、やるべき仕事をやっていないと評価されることにもなります。

そもそも、離婚原因があるかどうかは一つの事柄だけで決まるものではありません。離婚原因を定める民法770条1項は、その5号に「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を離婚原因の一つとして挙げていますが、夫婦双方の行為、収入や職業など家庭の状況、子どもの有無など、その夫婦間の一切の事情を総合的に考慮して婚姻を継続し難い重大な事由があるかは判断されます。「食事をコンビニの総菜などで済ませることが多い」などの事実も、ここで考慮される一つの事情になり、他の事情とあわせて離婚原因があると判断されることもあるでしょうが、それ単独で離婚原因となるほどの重大な事実とまではいえないのが一般でしょう。

また、家事については、妻が専業主婦か共働きで仕事をしているかということも考慮すべき大きな要素ということができます。専業主婦であれば、日々の食事の準備は家事の一部として主婦が中心となって担当すべき仕事だということはできるかもしれませんが、共働きの場合には夫も妻も同じように仕事を持っているのですから妻側が家事を主に担当すべきということにはなりません。仮に夫婦で話し合って食事の準備は妻が主に担当するなどと家事の分担を決めたとしても、仕事をしていれば定時に帰宅できるとは限りませんし仕事で疲れてしまうこともあるでしょうから、一概に惣菜を買って食事の間に合わせにすることを責めることもできません。

結局、その夫婦間の一切の事情とあわせて「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかを考慮する際に、「コンビニの総菜などで食事を済ませる」ことが考慮すべき一つの事情となるということになります。

「妊娠後、総菜ばかり出てくる。手抜きをするなら離婚したい。」は通用する?

例えば、妊娠する前までは自分で食事を作っていたけれど、妊娠後につわりが酷いなどで料理ができないことを理由に総菜を出された…そんな場合でも離婚事由として成立するのでしょうか?

この点を考える際にも、このような事情があることで「婚姻を継続し難い重大な事由がある」といえるかどうかを考えることになります。つわりの状況は人によって度合いは異なるでしょうが、一般的には、つわりのために家事が十分にできないというのはやむを得ないことです。特に料理はさまざまな匂いを生ずるものですから、匂いに敏感になることの多いつわりのときにはこれができなくなっても仕方のないことといえます。また、つわりでなくても妊娠中は身体にも負担がかかるものですから、以前のように家事ができなくなることもあるでしょう。

したがって、そもそも妊娠中に料理ができないことを捉えて「手抜きだ」と非難することは難しいでしょうし、そうであればそのことだけで離婚原因となることもないでしょう。

コンビニの総菜を禁止したらデパ地下で買ってきた。食費がすごいことに…

コンビニやスーパーの総菜ならともかく、いわゆる「デパ地下」の総菜はそれなりの値段がするものです。したがって、コンビニやスーパーの総菜と同一視することはできません。単に家事の一部としての食事の準備をするかどうかの問題ではなく、金銭面(家計面)の問題も加わってきます。

その家庭の収入が、頻繁にデパ地下の総菜を買っても問題がないくらい余裕があるのであれば別ですが、そうではない場合には、デパ地下の総菜が多くなったことで食費が大変高くつくことになったということは分不相応の浪費にもあたることになるでしょう。

このことだけで離婚原因となるとまではいえないかもしれませんが、やはり「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかを考える際の一つの要素になるといえ、離婚原因を構成する一つの事実となる可能性はあります。

コンビニの総菜ばかり出してくることを理由に離婚した場合、慰謝料は取れる?

以上述べてきたような、食事がコンビニの総菜などで済まされることを理由に離婚した場合に、慰謝料は発生するのでしょうか?

そもそも離婚における慰謝料とは、離婚によって受ける精神的な苦痛に対する損害賠償です。この損害は離婚原因を発生させた側の配偶者が相手方に賠償すべきことになりますから、離婚原因がコンビニの総菜にあるとしても慰謝料は発生するとは言えます。

ただ、慰謝料の金額はその離婚原因の重大性・悪質性によって大きく左右されます。もし離婚原因がコンビニの総菜だけにあるのではなく他にも重大な事情があるのであれば別ですが、コンビニの総菜の事情だけが原因で離婚をしたということであれば、離婚原因としての重大性・悪質性はそれほど高いということはできないでしょうから、慰謝料額は低いものとなるでしょう。

まとめ

このように、夫婦間にある事情があったとしても、それが離婚原因となるかどうかはその事情だけで簡単に判断できるものではありません。事情によっては単独でも離婚原因となるものもありますし(例えば暴力・不倫など)、他の事情と合わさって初めて離婚原因があると判断される場合もあります。

したがって、離婚原因となり得るのかの判断は専門家である弁護士に相談した上で十分に検討する必要があります。相手方に不満があって離婚を考えた際には、まずは弁護士に相談してみましょう。