自衛官との結婚および離婚ではどのようなことが考えられるのか見ていきましょう。

自衛官との結婚

自衛官は引越しが多い

自衛官、すなわち自衛隊の隊員は、常に引っ越しと隣り合わせです。基本的に日本全国に自衛隊の基地はありますので、そのどこに配属されることになるのか、よほど出世コースに乗り、防衛庁付になるなどしない限りは数年に一度のペースで転勤があるのが通常です。

勤務地によっては単身赴任を余儀なくされることも少なくありません。

場合によっては、国連平和維持活動(PKO)による海外派遣に伴い、数か月以上の海外転勤になってしまうことも考えられる職業です。

 

自衛官は家に帰らないことも多い

上記したように、仮にPKOにより海外派遣任務に就くことになれば、数か月単位の任務になり、基本的に帰宅することはできません。

また、PKOに限らなくとも、海上自衛隊に配属になったような場合、海上での訓練が当然想定されますし、(海上保安庁との区分が難しい面は否めませんが)実際に沿岸警備・海域の警備等を行えば、その期間家に帰ることはできません。

特に尖閣諸島等、領土問題が発生しており、緊迫感が強い場所に関しては出動の可能性が高まっているといえるでしょう。

そうすると、家族、特に妻の育児や家事の負担は大きくなってしまうのは必然です。

自衛官は勤務地により手当も違う

自衛官の勤務は当然のことながら危険を伴っているものが少なくありません。そして、危険の度合いによって手当の額が異なっているようです。

自衛官は公務員ですから、基本給については法律、及び人事院勧告によらなければこれを変動させることはできません(もちろん、昇格に伴う昇給は別ですが。)。

なので、手当によって実際の支給額の調整を行うようです。

海外勤務や艦艇勤務については、上記のように長期の任務を伴うことがあり、かつ、危険のない、とされる地域への派遣ではあっても、ISの台頭等により、100%安全といえる地域はなく、命の危険もあることから高額な手当になっているようです。

自衛官との離婚での財産分与

離婚での財産分与

離婚に伴う財産分与とは、夫婦が婚姻中に形成した財産につき、原則として夫婦が協力して形成した財産であるとして、その財産が共有となる(民法762条2項)ことから、その分配を離婚する夫婦間でどのように行うべきか、という問題です。

夫婦の共有財産は、清算的財産分与が原則とされます。清算的財産分与においては、原則として夫婦それぞれが、共同で形成した財産について、2分の1ずつの持分を有するとするルールが適用されています(2分の1ルールと呼ばれることが多い実務の計算方法になります。)。

このルールのもとでは、夫婦の経済的共同関係が消滅した時点(分かりやすく言えば別居を開始した時点)を基準にして、財産分与の対象を明らかにすることになります。なので、婚姻中に築いた預貯金や契約した不動産、保険の解約返戻金等の形成した財産全てが基本的にはこの対象財産になることになります(名義が夫婦共有であるか、そちらかであるかは問いません。)。

一般的に問題になるのは不動産のローンが残っている場合と言われますが、自衛官の場合、官舎も整備されている駐屯地が多く、持ち家を手にしても上記のように単身赴任の可能性が高いこと等も考えれば、早い段階で不動産を購入することは比較的少ない職業といえるでしょう。

むしろ、常に危険を意識する職業であることからすれば、生命保険を始めとする各保険の解約返戻金の方が問題になりやすいといえます。

各保険の解約返戻金も婚姻生活中において築き上げた財産といえるので、これも財産分与の対象です。もっとも、死亡保険金は対象にしないのが通常であり、離婚時の解約返戻金を計算し、その半分ずつの分配、とするのが通常の運用といえます。

但し、結婚前からどちらかが持っていた財産や、親からの相続財産については特有財産となるので、財産分与の対象にはなりませんので注意が必要です。

自衛官の退職金

退職金については、受け取る額の蓋然性が認められるような場合、一般的には離婚から2・3年後に退職(定年も含めて)が予定されているような場合には、財産分与の対象とするのが一般的です。

もっとも、自衛官は公務員なので、ある程度は受け取る額が計算できます。

基本的には両者の話合いの中で財産分与の対象とするかは話し合っていくことになるとは思われますが、自衛官は、公務員である以上、他の一般的な職業よりも財産分与の対象として認められやすい立場にあるといえます。

自衛官の年金

年金については、自衛官が国家公務員であることから、国家公務員共済年金によって将来的に受け取ることができる、ということになります。

もっとも、定年時を基準に算定してしまうと、夫婦で最後まで財産を形成したわけではないのに、これを案分する結果になり、不公平が生じます。

離婚時の年金額を基準にすることもありますが、年金については財産分与の対象としないことが一般的といえます。

自衛官との離婚での養育費

子供の養育費については、自衛官だから他の職業とは違い・・・ということはありません。

どのような進学をさせ、どういった教育を施すのかを踏まえ、基本的には算定表にのっとって判断していくことになります。

もっとも、これをきちんと決めないで離婚すると、後々、養育費の増額請求や、養育費の支払い請求をされる、することになり、離婚のトラブルが二重に発生してしまいます。

これを回避するためにもしっかりと養育費の額については合意しておくべきでしょう。

まとめ

自衛官の方が離婚される、という場合に一番問題になると考えられるのは、離婚に向けた話合いが遠隔地での勤務であったり、訓練があったりして取りにくい、ということでしょう。

弁護士を代理人につける最大のメリットは、自衛官本人の時間を節約できる、ということです。

また、財産分与についても、冷静な目線を持った第三者としての役割、と本人の代理人としての役割を同時に担うことができるので、通すべき要求は通し、無理な要求については依頼者に対してNGを出すこともできます。

弁護士を代理人につけることで双方が納得した離婚協議を行いやすくなるといえるでしょう。