夫婦の一方や双方が公務員であるとき、気をつけなければいけない点があります。詳しく見ていきましょう。

公務員は退職金や年金が多い場合もある

公務員はあくまで、試験(国家公務員であれば国家公務員試験)を突破した上でなることができる資格職です。特に国家公務員総合職(昔でいう国家公務員一種)はいわゆる「キャリア」と呼ばれ、その出世も望めます。テレビドラマ相棒で主人公が出世コースを外れながらも現場の刑事たちに一目置かれているのはその典型例といえるでしょう。

収入については法律で規定されており、安定しています(増減は基本的には人事院勧告のみになります。)。また、国家公務員ですから、年金や退職金はある程度高額なものが保障されていますし、言葉は悪いですが再就職先(いわゆる天下り先)もある程度は確保されています。そうすると、そこでも退職金は発生することになります。養育費・財産分与については、これらの事情が当然に考慮されることになるでしょう。

公務員との離婚での財産分与

離婚に伴う財産分与は、夫婦が婚姻中に形成した財産については、原則として夫婦が協力して形成した財産であり、その財産が共有となる(民法762条2項)ことから、その分配を離婚する夫婦間でどのように行うべきか、という問題です。

夫婦の共有財産は、清算的財産分与が原則とされています。清算的財産分与においては、夫婦それぞれが、共同で形成した財産について、原則としては、2分の1ずつの持分を有するとするルールが適用されています(2分の1ルールと呼ばれることが多い実務の計算方法です。)。

このルールのもと、夫婦の経済的共同関係が消滅したとされる時点(例えば、夫婦が別居を開始した時点)を基準にして、財産分与の対象を明らかにすることになります。なので、婚姻中に築いた預貯金や契約した不動産、保険の解約返戻金等の形成した財産全てが基本的にはこの対象財産になることになります(名義が夫婦共有であるか、どちらかであるかは問いません。但し、元々夫婦どちらか(例えば親からの相続財産等)が持つ特有財産である場合には財産分与の対象とはなりません)。

公務員については、上記したような退職金はもちろん、共済組合の貯金も対象になりうる事に注意が必要です。

公務員の退職金

退職金については、財産分与の対象となるか否かについて議論のあるところではありますが、退職金についての計算が他の職業と比べて容易であることを踏まえて考えれば、財産分与の対象に含めることも多いといえます。

この場合、離婚時(別居が先行していれば別居時)に退職したとして発生するであろう退職金を算定し、その額を財産分与の対象にすることになるでしょう。もっとも、あまりに退職が先の様な場合であれば、財産分与の対象にしない場合も当然ありえるといえます。

公務員の年金

公務員については、通常の国民年金や厚生年金のみではなく、国家公務員共済年金(地方公務員であれば地方公務員共済年金)も財産分与の対象となりえます。もっとも、退職金の場合と同じように、これを財産分与の対象とするかは、退職までの期間等を含めて総合的に判断することになるでしょう。

また、仮に公務員年金も財産分与の対象にするとすれば、これも退職金の場合と同様に、夫婦で形成したと認められる期間、すなわち離婚時ないし別居時を基準にその時に解約(退職)したとして計算することになるでしょう。

公務員との離婚での養育費

入学金や学費の負担

子供の養育費については、公務員による特殊性、というのは見出しがたいといえます。例えば外務省に勤めるような人であれば、子供の留学等も踏まえた養育費の算定がなされる可能性はあるといえますが、基本的には算定表にのっとって判断していくことになります。

仮に、離婚する親の合意の下、子供を私立に通わせると決めているのであれば、それに見合った入学金・学費の負担なども決めておくと後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

逆に言えば、これをきちんと決めないで離婚すると、後々、養育費の増額請求や、養育費の支払い請求をされる、することになり、離婚のトラブルが二重に発生する結果になりかねません。これを回避するためにもしっかりと養育費の額については合意しておくべきでしょう。

養育費の金額は将来の減収も踏まえておく

上記したように、基本的には算定表にのっとって養育費は判断されることになり、公務員だからということでそれが特別の事情になることは考えにくいといえます(上記したように外務省等特殊な省庁であれば加味される可能性はないとはいいきれません。)。また、減収の場合というのは国家公務員であれば考えにくいといえますが、非常勤なら考えられる可能性もあります。

しかし、非常勤の契約が更新されず、養育費の負担者が職を失った、あるいは想定の範囲を超えた減給になってしまったという場合まで想定してしまうと、まとまるものもまとまらない、ということになりかねません。

あくまで、離婚時(別居時)を基準とし、仮に上記のような特殊な事情が発生してしまえば再度の話合いをする旨の条項を入れるか、調停などで別途解決する方が離婚の際の選択肢としては現実的でしょう。代理人がどのような戦術を採るのかにも左右される面が少なくありません。

まとめ

公務員については、特に年金などで、一般のサラリーマンとは事情が異なる面が少なからず存在します。どこまでを財産分与の範囲にするのか、どうすれば合意の上で離婚できるのか、紛争を蒸し返さないためにはどうすればよいか、というのは非常にデリケートな問題です。こういった局面で弁護士のような第三者かつ専門家の知恵に頼ることは非常に有益であるといえるでしょう。