妊娠中に離婚問題が発生するケースもあります。妊娠中に離婚を考えたときの、慰謝料や養育費などについて考えていきましょう。

妻が妊娠中に起こりうる離婚理由とは?

妻が妊娠中に離婚することは、決して少なくありません。妊娠による急激なホルモンバランスの変化は、時に妻である妊婦の精神を不安定にさせます。また、医師により安静を指示されている場合は、夫婦生活を医師から止められることもあります。この場合、禁欲を強いられる夫が浮気に走る場合が多々あります。

妻としては、切迫流産等で安静を強いられている最中に、夫が浮気をしているということが判明した場合の精神的なダメージは大きいものがあります。このようなことが妻の妊娠中の離婚の引き金となるでしょう。

妊娠中に離婚したら親権はどちらに行くの?

妻が妊娠中に夫婦が離婚した場合、おなかの子供の親権は妻に行きます。ここで親権と監護権について押さえておきましょう。

親権とは、未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいます。

監護権とは、親権の中に含まれている権利で、親権のうち子どもの近くにいて、子どもの世話や教育をする親の権利義務ということになります。

このように、この二つの権利は分離することはできるのですが、監護権は親権の一部ですから、原則として親権者がこれを行使するのが通常です。

また、親権者と監護権者は一致したほうが、子どもの福祉のためにはなると考えられています。しかし、場合によっては、親権者と監護権者が別々になるケースもあります。

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妊娠中に離婚しても養育費を請求できるの?

妊娠中に離婚しても、養育費は請求できます。養育費とは、妻の権利ではなく、子供が一緒に住んでいない親に対して、同等の生活を送ることを要求することができる権利だからです。

一般に、養育費はその子が成人するまで請求することができます。時には、夫婦の話し合いによって、子どもが大学を卒業するまで養育費を払うといった合意をすることもできます。

養育費の請求・交渉は弁護士へ

妊娠中に離婚した場合、生まれてくる子供の戸籍はどうなるのか?

子供が離婚届の受理より300日を過ぎて生まれてきた場合は、その子供は「非嫡出子」として母親の戸籍に入ることになります。
300日以内に生まれた場合、親権は自動的に母親のものになりますが、戸籍は父親のほうに入ることになっています。

そして、家庭裁判所に「母の氏を称する入籍届」と親権者を母にする許可を申し立てることになります。申立てが認められれば、母の戸籍に入籍することになります。

慰謝料の請求はできるの?

離婚の原因を夫が作った場合、妻は夫に対して慰謝料を請求できます。

よく勘違いされることなのですが、慰謝料とは精神的ダメージを負わされた方が負わせた方に請求できるものですので、円満な離婚であれば慰謝料は発生しません。

また、妻が離婚の原因を作ったのであれば、妻が慰謝料を支払わなければなりません。つまり、離婚の際は、必ず妻から夫に慰謝料が請求できるわけではありません。

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出産直後の生活費は請求できるの?

この場合は、結論から言うと、生活費の請求はできません。
婚姻中であれば、婚姻費用の請求はできますが、離婚して他人になれば、元夫が元妻に対して生活費を負担すべき根拠がないからです。

しかし、女性は、出産直後は、体も戻っていませんし、赤ちゃんのお世話で精一杯で仕事をすることはできませんから、収入がなければ赤ちゃんとの生活が不安になるのはもっともです。
そういう場合に備えて、財産分与や養育費の請求、場合によっては、慰謝料の請求はきっちりとしておきましょう。

妊娠中に離婚しても、元夫に生まれてくる子どもと会う機会を作らないといけないの?

一般的に、女性は別れた夫と子供を会わせることを嫌がるものですが、そこは冷静に判断しましょう。

別れた夫に養育費支払い義務があるのは先ほど述べましたが、夫の方にも面会交流権といって、子どもに会う権利が保障されています。
ただし、これは子供の健やかな成長のために認められている権利ですから、父と会うことが子供のためにならないと主張し、それが認められれば制限させることはあります。

しかし、きちんとした手続きを踏まずに調停等で決めた面会交流権を母親が無視をすると罰則がありますので注意が必要です。

まとめ

以上、妊娠中の離婚について、説明しましたがいかがでしょうか?
離婚は、様々な法律問題を含む手続きです。一時の感情に駆られて、きちんとした取り決めをしないままに離婚届を出してしまうと、のちのち様々な問題が出てきます。

離婚を心に決めたならば、冷静になり、まず一度離婚問題に精通している弁護士に相談なさることをおすすめいたします。