DVが原因で離婚する場合に、もし連名で住宅ローンを組んでいたらどうなるのでしょうか。連名で住宅ローンを組んでいて離婚する場合について考えていきましょう。

DV・ドメスティックバイオレンスを受けた証拠を残しておく

DVを受けた場合には、証拠を残しておくことが大切です。証拠を残す方法としては、

  • 病院で診察を受け、診断書を取る
  • 患部がはれたり、あざになったりしている場合には、写真を撮っておく。また、負傷だけでなく、暴れて物を壊すなどした場合にも、壊れた物の写真を撮っておく
  • 暴言など言葉の暴力がある場合には、録音する
  • メールなどの保存
  • とっさに録音などできないときは、メモ・日記などに記録を残す

などが考えられます。

参考:旦那の暴言が理由で離婚した場合に慰謝料請求できるの?

DVによる離婚と住宅ローン

住宅ローンと財産分与

離婚にあたっては、夫婦が共同で形成した財産を清算する必要があります。これを財産分与といいますが、住宅ローンが残っている場合には、不動産の価値と残債務をどのように清算するかが問題になります。この問題については、不動産の価値と残債務のどちらが大きいかで分けて考える必要があります。

不動産の価値が勝っている物件の財産分与

ある程度まとまった頭金を用意したり、相当期間ローンを支払ってきた場合のように、不動産の価値の方が住宅ローンの残額よりも大きい場合、不動産の価格から残債務を差し引いた額が、不動産の価値ということになります。 この場合には、不動産を売却して残債務を支払って残った額を分けてもいいですし、どちらか一方が不動産を取得して、相手方には金銭で相当額の支払いをするという処理も可能です。

ローン残の方が不動産の価値を上回っている場合

これに対して、住宅ローンの残額が不動産の価値を上回る場合(いわゆるオーバーローンの場合)、財産分与の問題では、経済的な価値がないと判断され、財産分与の対象にはなりません。そのため、離婚後にどちらが住むか、住宅ローンはどちらが払うかといったことについて、裁判官が決めることはできず、当事者間の協議により決めるしかありません。
また、住宅ローンは、金融機関との契約ですから、例えば、夫名義で住宅ローンを組んでいたが、離婚後は妻が住宅に住み、ローンも払うと合意をしたとしても、あくまで当事者間の問題であって、当然に金融機関を拘束するものではありません。

住宅ローンの支払いが養育費や婚姻費用の支払い代わりになるのか

夫が家を出て、妻と子は元の家に住み続け、夫が住宅ローンの支払いを続けるということがあります。
この場合、住宅ローンの支払いをすべて養育費や婚姻費用の代わりであると考えると、妻は住宅ローン以外にほとんど養育費・婚姻費用を受けられないことになりますし、逆にすべて養育費・婚姻費用には含めないと考えると、夫は住宅ローンに加えて養育費・婚姻費用を払うことになり、負担が大きくなります。この点について当事者間で合意ができない場合、最終的には裁判官が決めることになります。

住宅ローンの負担の按分方法

上記のような例で夫が住宅ローンを支払っていることを養育費・婚姻費用の算定にあたって考慮することは異論がありませんが、具体的にどのように計算するかについては定まった見解はありません。
住宅ローンの支払いは資産の形成という性質もあるため、家賃のように純粋な居住のための費用とは考えられません。そこで、支払った住宅ローンのうち統計上の標準的な住居関係費用にあたる額を養育費・婚姻費用から差し引くという方法も考えられます。
また、妻にも収入がある場合には、住宅ローンの負担を2分の1ずつにしたり、収入の割合に応じて案分することも考えられます。

住宅ローンの解決に適した手続き

不動産の価値がローン残より上回っている場合

不動産の処理について合意ができない場合、最終的には不動産を換価する(売却する)ことになります。売却することで住宅ローンの負担がなくなりますから、住宅ローンの支払い分を養育費に含めるかという問題は生じません。

オーバーローン物件の場合

これに対し、オーバーローンの場合、財産分与の対象にならないため裁判官が決めることはできないことから、不動産の処理については当事者間の話し合いにより解決する必要があります。
話し合いで合意ができないときは、養育費については家庭裁判所の調停で協議し、それでもまとまらないときは、審判という手続に移行し、裁判官が決めることになります。

まとめ

このように、離婚の際の財産分与に関しては、不動産の価値と住宅ローンの残額のどちらが大きいかで大きく結論が変わります。また、これ以外にも、住宅ローンについては夫婦の一方が債務者となり、他方や他方の親族が連帯保証人になっていることも珍しくなく、離婚にあたって連帯保証をどうするかといった問題が生じることもあります。
住宅ローンの処理についてお困りの場合には、早期に離婚に詳しい弁護士に相談をしてはいかがでしょうか。