銀行員との離婚の場合、どのようなことに気をつけなければいかないのか、詳しく見ていきましょう。

銀行員は平均年収が高い傾向にある

銀行員と結婚している場合でも、離婚問題に発展してしまうことがあります。
一口に銀行員と言っても、さまざまです。全国展開している大手のメガバンクもありますし、都市銀行、地方銀行もあります。銀行員ではありませんが、一般的に、信用金庫などの金融機関の従業員も銀行員と同様に考えられていることが多いです。
銀行員が離婚する場合、いろいろな問題が起こります。まず、銀行はいわゆる「固い職場」なので、離婚すると非常に職場に居づらくなります。辞めなければならないというところまではいかなくても、昇進などが事実上不可能になるケースは多いです。
また、銀行員は一般のサラリーマンよりも年収が高い傾向があります。これについても勤務先の銀行によってさまざまですが、大手のメガバンクの行員などは高級取りのイメージが強く、実際に給料が高い勤務先の調査をすると、上位に入ってくることが多いです。
このように年収が高いため、銀行員と離婚する場合には、いろいろな金銭的な問題が発生します。離婚の際には財産分与や慰謝料、養育費などの金銭支払いが問題になりますが、これらの金額の決定や支払方法について、高額所得者の銀行員との離婚のケースでは、慎重に検討しないといけません。
このように、多額の金銭が絡むことと、離婚後の銀行での待遇(銀行員が離婚によって職場にいづらくなること)が問題になるため、銀行員との離婚の際にはトラブルが大きくなってしまうことが多いです。

銀行員との離婚での財産分与

どういう財産が分与対象になり得るか

銀行員との離婚では、財産分与などの金銭支払いが重要なポイントになりますの、以下ではまず、離婚の際の財産分与としてどのようなものが対象になるのかを見てみましょう。

そもそも財産分与とは、夫婦が婚姻中に築き上げた夫婦共有財産について、離婚の際に清算するという制度です。婚姻中の財産は夫婦共有として推定されるので、離婚の際には夫婦それぞれの取り分を決めないといけないため、財産分与の制度が認められています。
財産分与の対象になるのは、夫婦が婚姻中に共同で築いたすべての財産です。たとえば、夫の給料から積み立ててきた預貯金や投資信託などの金融資産、自宅や投資用マンションなどの不動産、貴金属やゴルフ会員権などがすべて財産分与の対象になります。
マイホームや自家用車、銀行での積立金、生命保険に加入していればその解約返戻金も財産分与の対象になります。
銀行員の場合、勤務先の銀行を通して積立や多額の預貯金をしていたり、投資信託などを購入していたりすることが多いですし、財テクに関心が高いために株式投資などをしていることもよくありますが、これらもすべて財産分与の対象になります。
ただ、財産分与は、夫婦が婚姻中に積み立てた財産を清算する制度なので、夫婦の一方が独身時代から有していた財産については、分与対象になりません。たとえば、銀行員の夫が独身時代に給料から貯めていた預貯金や投資信託、株券などは分与対象にならないのです。また、夫婦の努力とは無関係に入ってきた財産も、分与対象になりません。たとえば、婚姻中に夫婦のどちらかの親が亡くなって、その遺産が入ってきた場合、遺産は特有財産となるので、財産分与の対象にはなりません。
財産分与をする場合、まずはどの財産が分与対象になるのかを特定していく作業が必要になります。

銀行員の退職金

銀行員の財産分与を考えるとき、退職金が問題になるケースがあります。

退職金は、常に財産分与の対象になるわけではありませんが、一定のケースでは分与を請求できます。退職金は、離婚後すぐに受け取れるものではありませんが、給料の後払い的な性質を持つので、退職金のうちでも婚姻期間中に対応する部分については、財産分与に含めることができます。ただし、その場合でも、退職金を受け取れる蓋然性がそれなりに高いことが必要です。
具体的には、今後10年以内に退職する予定があり、退職金が支給される蓋然性が高い勤務先であるような場合には、退職金を財産分与の対象に含めて計算することになります。
通常、銀行では退職金制度が設けられていることが多いでしょうから、銀行員が今後10年以内に退職する予定がある場合、退職金を財産分与に含めることになるでしょう。
銀行員は、もともとの給料が高めであることもあり、退職金の金額も一般の会社より高くなるケースが多いです。そこで、退職金の財産分与を巡って夫婦の争いが激化するケースもしばしば見受けられます。
退職金の財産分与では、そもそも退職金が財産分与の対象になるのか、対象になるとしてその評価方法をどのようにするかという2つの問題があるため、なかなか夫婦だけでの話し合いで解決することが難しくなるのです。

銀行員との離婚での養育費

子どもの養育費の分担を事前に決めておく

銀行員と離婚する場合でも、未成年の子どもがいるケースがあります。この場合には、子どもの親権者を決定しなければなりません。
こちらが子どもの親権者となって子どもを監護養育していく場合、相手に対して養育費の請求をすることができます。
養育費の金額は、(元)夫婦の双方の収入によって決定されます。
支払う側の収入が高ければ高いほど養育費の金額は高くなりますし、支払いを受ける側の収入が高ければ高いほど、養育費の金額は低くなります。
銀行員の夫と離婚して自分が子どもを引き取る場合、相手がメガバンクなどに勤務していて高収入を得ているケースでは、一般よりかなり多額の養育費を請求することができることもあります。
また、養育費を決める際には、月々の支払に加えて、子どもの高校や大学などへの進学費用をどちらがどのように負担するかという問題も発生します。これらについては、離婚時にある程度決めておいた方が、後々のトラブルを避けられるので安心です。たとえば、子どもが高校に進学する年の3月ないし4月に〇〇万円、子どもが大学に進学する場合にはその年の3月ないし4月に〇〇万円などと取り決めておきます。または、かかった進学費用の実費を支払う内容にしておいても良いでしょう。
このように、子どもの進学費用についてきちんと話し合いをしておかないと、子どもが安心して進学することができなくなりますし、子どもが進学する段階になって再度元夫とお金の話をしないといけなくなるので、大変なストレスになります。
結局支払いを受けられずに子どもが進学を諦めなければならないという事態も起こりますので、くれぐれも注意しましょう。

まとめ

以上のように、銀行員と離婚をする場合には、一般の離婚事案以上に考えなければならない問題があります。特に年収の高い銀行員の場合には、各種の離婚給付の支払金額が高くなる傾向にあるので、紛争が激化することがあります。
また、銀行員は離婚をすると銀行での立場が非常に危うくなるので、現役中はとにかく離婚を避けようとする人が多いです。そのため、離婚を望む妻との間で話がまとまらず、熾烈な離婚トラブルになることもあります。
さらに、銀行員の場合、退職金の支給がほとんど確実で、金額も高額になることが多いので、その財産分与を巡っても、やはり夫婦間で激しい争いが起こります。
このように、銀行員との離婚事案では、夫婦が自分たちだけで話し合いをしても、なかなか解決に至らないことが多いです。
離婚の際に自分の利益を最大限に守るためには、法律のプロである弁護士に相談をしてアドバイスをもらうことが大切です。
銀行員と離婚をして金銭請求をする側も、適正に金額を計算して支払いを受ける必要がありますし、請求を受ける銀行員の側も、そもそも離婚に応じるべきかや、応じるとしてもいくらの金額を支払うかなどの問題に慎重に対処する必要があります。
銀行員やその配偶者で離婚問題に悩んでいる場合には、まずは一度、離婚問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。