公認会計士との離婚の場合、注意しなければいけない点があります。詳しく見ていきましょう。

公認会計士は高額所得者が多い

公認会計士は、一般的なサラリーマンと比較すると高収入と言われており、大手の監査法人に勤めて昇進したり、独立して会計事務所を開業したりした場合には、より多くの収入を得る可能性もあります。
そのため、公認会計士の離婚には、財産分与や慰謝料、養育費などの経済的条件で紛争になりやすいという傾向があります。

公認会計士との離婚での財産分与

財産分与の対象は夫婦の協力で築き上げたもの

財産分与とは、夫婦が婚姻中に共同して形成・維持してきた財産を、離婚する際または離婚後に清算することをいいます。
相続など夫婦が共同で取得したとは言えないものを除き、婚姻中に得た財産は基本的に財産分与の対象となると考えていいでしょう。
財産分与の対象となる財産は、現金や預貯金、不動産などが一般的ですが、これらに限定されるわけではなく、株や国債などの有価証券、車なども含まれます。

監査法人・税理士法人の財産

夫婦の一方が監査法人や税理士法人の理事長をしている場合、公認会計士個人の財産のほかに法人名義の財産があると考えられます。
しかし、法律上は個人と法人は別人と扱われるため、法人の財産が会計士個人の財産分与の対象になることはありません。
ただし、理事長が監査法人や税理士法人に出資していたり、金銭や不動産を貸し付けたりしているような場合には、これらの法人に対する出資持分、貸金債権、所有する不動産は公認会計士個人の財産にあたりますから、婚姻中に形成したものであれば財産分与の対象となると考えられます。
なお、出資持分は、株式会社の株式のようなものですから、法人に利益が出ており、資産を増やしているような場合には、出資した額よりも価値が上昇します。
そのため、出資持分をいくらと評価するかで争いになることもあります。

公認会計士の退職金

退職金には給与の後払い的な性格があるため、退職金も財産分与の対象となります。
公認会計士の場合でも、大手の監査法人に勤めていた方には退職金が支給されることがあります。
また、監査法人や税理士法人の理事として経営していた方の場合には、役員の退職慰労金についての法人保険に加入し、保険会社から退職金を受け取ることが多いようです。
このように何らかの方法で退職金が支払われる場合には、財産分与の対象となります。

財産分与で退職金をもらうための方法

公認会計士との離婚での養育費

一般に、養育費は、夫婦双方の収入や子どもの人数・年齢によって決められるもので、公認会計士の離婚の場合も基本的な考え方は変わりません。
ただし、公認会計士は高収入であることが多いので、相手方が親権者となり、公認会計士の方が養育費を支払う場合、養育費が高額になる傾向があります。
また、養育費の支払いは、一般的には子どもが成人に達するまで(20歳になるまで)とされますが、親が公認会計士の場合、子どもにも同様の高水準の教育を受けさせたいと考える方も多いでしょう。
そのためには、養育費を取り決める際に、将来大学に進学した場合の入学金、授業料などのことも考慮して、養育費の額や養育費を支払う期間を決めておくことが必要です。
もしこの点について決めていないと、子どもがある程度成長して進路を考えるようになったころ、学費の負担などで相手方と再度紛争になってしまう可能性があります。

養育費の交渉・請求は弁護士にお任せください

会計事務所で配偶者を雇用している場合

離婚を理由に解雇することはできない

独立開業した公認会計士の方のなかには、配偶者を従業員として雇用している方もいらっしゃいますが、離婚を理由に配偶者を一方的に解雇することは認められません。
もっとも、離婚をするからには夫婦間に感情的な対立がある場合もほとんどですから、配偶者も従前どおりに働くことを望まないことも多いはずです。
ですから、離婚の話し合いの際に、雇用についてもきちんと話し合いをして、何らかの取り決めをしておくことが望ましいでしょう。

まとめ

このように、公認会計士の離婚には、一般的なサラリーマンの場合と比較して注意が必要なことが多数あります。多忙な職務の合間にお一人で離婚問題に対応するのは、物理的にも精神的にも負担になると思われます。
離婚問題でお悩みの方は、離婚問題に詳しい弁護士への相談・依頼を検討されてはいかがでしょうか。