大学教授の離婚の場合、どのようなことを考慮しなければならないのか、詳しく見ていきましょう。

大学教授の平均年収は高い傾向にある

離婚の際には、金銭的な問題がたくさん発生します。たとえば、財産分与や慰謝料、子どもの養育費などです。
これらの金銭支払いが発生する以上、相手にどれだけの支払を求められるかということが重大です。相手に多額のお金や収入があれば、その分多額の請求をすることができますし、支払いを受けやすくなるからです。支払う方にしてみても、どれだけ支払が必要になるかは大きな問題になります。
大学教授の場合、大学や研究内容、大学での立場などによっても異なりますが、概して一般的なサラリーマンよりも収入が高額であることが多いです。
確かに、近年では少子化の影響もあって、大学の経営も苦しくなってきており、大学教授の年収はかつてよりは少なくなっているという傾向もありますが、まだまだ一般の平均収入などと比べると高収入です。
大学教授と離婚する場合には、年収が高額な分、養育費や財産分与を多く請求出来ることが多いので、これらを決定する際には、損をしないように適切に財産分与対象の財産と特定したり、金額を計算したりする必要があります。

大学教授との離婚での財産分与

離婚での財産分与

大学教授と離婚する場合の注意点を考える前提として、そもそも財産分与はどのような制度なのかを抑えておきましょう。

財産分与とは、夫婦が婚姻中に積み立てた夫婦共有財産を、夫婦の離婚時に清算することです。夫婦の婚姻中には夫婦の財産が共有であると推定されるので、離婚時にはそれぞれの取り分を特定して分ける必要があるからです。
財産分与には、夫婦が婚姻中に形成した財産が、基本的にすべて含まれます。
たとえば、夫婦がその給料から貯めてきた預貯金や積立金、婚姻中に掛け金を支払った生命保険や共同で購入した自宅不動産、投資用の不動産、株券や投資信託、貴金属なども財産分与の対象になります。
財産分与の割合については、夫婦が自分たちで話し合って決める場合には、自由に定めることができます。たとえば、妻が8割もらったり、全部もらったりしてもかまいませんし、逆に収入の高かった夫が多めにもらうこともできます。もちろん、夫婦が2分の1ずつにすることも可能で、その方法がもっとも公平だと言えます。
審判や裁判によって裁判所が財産分与割合を決定する場合には、財産分与の割合は夫婦が半分ずつ(2分の1ずつ)になります。
夫婦の一方が専業主婦であったり、夫婦の収入に大きな格差がある場合であったりしても、財産分与の割合は2分の1ずつになるので、覚えておきましょう。

大学教授の退職金

財産分与をする場合には、退職金の取り扱いも問題になります。

退職金は、離婚後に受け取るものなので、婚姻中に積み立てた財産とは言えず、財産分与の対象にならないのではないかとも思えますが、退職金は、賃金の後払いの性質を持つので財産分与の対象になります。
ただし、どのようなケースでも退職金が財産分与の対象になるわけではありません。退職金は将来受け取るものなので、本当に受け取れるかどうかが不確実ですし、金額も確定することが難しいことが多いです。
そこで、離婚時の財産分与において退職金を対象にできるのは、以下のようなケースに限定されます。

  • ・離婚後退職金を受け取るまでの期間が比較的短いこと(概ね離婚後10年以内)
  • ・退職金が支給される蓋然性が高い勤務先である(上場会社や公務員など)

退職金が財産分与に含まれるには、退職金の受け取り時期が比較的離婚後すぐであることが必要で、具体的には離婚後10年以内程度に退職金が支払われることが要求されることが多く、支給が10年以上先になると、裁判上でも退職金を財産分与に含めることを否定されることが多いです。
また、退職金の支給が行われる蓋然性が高い勤務先であることも必要です。大学教授の場合、勤務先は大学ですが、個々の大学によって退職金の取り扱いが異なります。
国公立の独立行政法人等の場合には、通常退職金の規程が明確であり、退職金が支給される可能性が高いですが、私立の場合には、退職金規程がない大学がある可能性もあります。
退職金制度は法律によって共催されているわけではないので、退職金規程がないとまったく支払われないこともあります。離婚前には、夫(妻)の勤務先の大学で、退職金支給が行われているものかどうか、きちんと調べておく必要があります。

大学教授との離婚での慰謝料や養育費

一般的に、離婚する場合には慰謝料や養育費も問題になります。

夫婦のどちらかに非があって、それが原因で離婚に至る場合には、離婚原因を作った配偶者に対して慰謝料を請求することができます。未成年の子どもがいる場合、子どもを引き取った方は、相手に対して養育費の支払いを請求することができます。
養育費は、夫婦双方の収入に応じて金額が決定されます。支払をする側の収入が高ければ高いほど養育費の金額は高額になりますし、支払いを受ける側の収入が高ければ高いほど、養育費の金額は低額になります。
慰謝料の金額の算定の場合にも、支払う側の収入が考慮されるので、高収入の場合には慰謝料の金額が高額になりますし、支払う側の社会的地位が高いとやはり慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。
相手が大学教授の場合、一般的なサラリーマンのケースよりも収入が高い上、「大学教授」として、高い社会的地位についています。
そこで、大学教授との離婚時に養育費や慰謝料を定める場合、一般的な離婚のケースよりも金額が高額になることが多いです。
このように、大学教授と離婚する場合には、離婚の際の金銭請求の相場が高額になりがちなので、適当に決めたり計算したりすると、本来受けられるだけの支払いを受けられず、損をする可能性があります。
このような事態を避けるためには、きちんと法律的な知識を持って、適正な金額を計算する必要性が高いです。
そのためには、素人が自分で考えても限界があるので、もし自分でいろいろ調べてもよくわからない場合や自信がない場合などには、離婚問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。

まとめ

以上のように、大学教授と離婚をする場合には、一般の離婚のケースよりも高額な金銭請求ができる分、慎重に財産分与の対象を特定したり、養育費、慰謝料の計算をしたりする必要があります。
これらの計算をきちんとしておかないと、本来受けられるはずの給付を受けられずに損をしますし、離婚後の生活も苦しくなってしまうおそれがあります。
離婚時に子どもを引き取る場合も多いですが、本来受け取れる養育費が請求出来なくなると、自分だけではなく子どもにも苦しい思いをさせることになってしまいます。
支払をする大学教授の側も、適正な金額を把握しておかないと、不当に高額な金額を請求されて、損をする可能性があります。
このように、離婚の際には、金銭給付に関連してさまざまな問題があり、法律的に正しい知識を持って対応することが極めて重要です。自分で考えていてもよくわからないことが多いので、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。