商社マンとの離婚では、考慮しなければならないことがあります。商社マンとの離婚について詳しく見ていきましょう。

商社マンは年収が高い傾向にある

大手商社に勤めるような商社マンは、元々求人倍率も非常に高く、高学歴かつ、能力もある人材が採用されている傾向にあります。よって、勤務する商社による違いはありますが、大手商社には海外転勤もつきものですし、高額な収入を得ている商社マンが数多く存在しています。

海外勤務や単身赴任という条件は、離婚の理由の中で数多くあげられる「生活のすれ違い」や「性格の不一致」に発展してしまうことも少なくなく、離婚事由に該当しやすい上、高額な収入があれば、当然財産も多く、財産分与が複雑化してしまいやすい傾向にあります。

商社マンとの離婚での財産分与

離婚による財産分与の対象

離婚に伴う財産分与とは、夫婦が婚姻中に形成した財産につき、原則として夫婦が協力して形成した財産であるとして、その財産が共有となる(民法762条2項)ことに起因し、その共有財産を離婚に際して、どういう風に分配するか、という問題です。後述するように、夫婦の共有財産は、清算的財産分与が原則であり、この場合は、夫婦それぞれが2分の1ずつの財産を有する、とするのが一般的なルールになります(2分の1ルール。)。

この2分の1ルールのもとでは、夫婦の経済的共同関係が消滅した時点(分かりやすく言えば別居を開始した時点)を基準にして、財産分与の対象を明らかにします。預貯金や保険の解約返戻金はもちろん、夫婦片方の名義で購入した不動産やゴルフ会員権等看過可能なものについては原則として財産分与の対象です。もっとも、不動産購入時にローンが組まれているような場合については、これも計算に入れて、その価値を検討する必要があります。

また、不動産については、夫婦の片方が住み続けたいのであれば、不動産価格(原則としては夫婦の合意によって算定し、多くは不動産会社の調査結果を参考にしますが、不動産鑑定士の鑑定を必要とする場合もあります。)を算定し、これに残ローンを引いたものを2分割した上、住み続ける方が出ていく方にその額を支払う、といった計算になります。

なお、夫婦の財産がトータルでマイナスになるような場合には、夫婦の共有財産が存在しない、ということになり、一方から他方への財産分与請求権も生じないことになりますが、商社マンの離婚においては中々考えにくい事象といえます。

離婚による財産分与の割合

上記したように、夫婦が形成した財産は夫婦の共有財産となるのですから、財産分与の割合は原則として2分の1ずつ、ということになります。財産分与権の趣旨に生活保持というものも含まれている以上、これが原則です。

ただし、商社マンのように高収入を得ている場合には、この割合を修正する必要がある場合があります。すなわち、商社マンとしての夫の能力によって著しく高い収入を得ていた場合であれば、(もちろん立証は必要ですが)その夫の能力給に比例する割合については「特段の事情」があるものとして、財産割合が修正される可能性があります。

もっとも、家庭裁判所は原則として2分の1ルールを適用していますので、2分の1でない割合を期待して離婚に臨むべきではないでしょう。

商社マンの退職金

退職金には、給与の後払い的な一面があるとされています。よって、大手商社に勤めているような商社マンで定年時の退職金が計算できるような場合については、これを計算し、財産分与の対象とすることもあります。

もっとも、多くの実務では、将来の退職金については、数年後に退職し、その時点での退職金の額が判明している場合に限って、財産分与の対象財産とし、それを現在の額に引き直した上(通常は、ライプニッツ係数から計算します。)、財産分与の対象とします。非常にややこしい計算が必要になる場面です。

これ以上先の退職金については、多くの場合、景気の変動を始めとする事情の変更の可能性が否定できず、基本的には財産分与の対象には含みません。

商社マンとの離婚での養育費

入学金や学費の分担は決めておく

離婚に際して、子供がいれば、その養育費の計算は必須です。通常は算定表をベースにその範囲内で月額●円、と決定します。もっとも、子供が私立小学校やアメリカンスクールに通い、学費が大きくかかる場合や、夫婦の合意で受験をさせると決定しているような場合には、その進学塾の費用なども決めておく必要があります。

養育費はトータルで見た場合に、決して安価ではないため、これを決めずに財産分与と婚費の分配についてのみで離婚を成立させてしまうと、子供を引き取った方が経済的に苦しくなったり、後で養育費についての調停が提起され、離婚が二度手間になったりと、いいことがありません。

まとめ

離婚に際しては、特に商社マンのように多くの財産が見込める場合には、その分配をしっかりやること、そして将来に向けての財産の支出、具体的には養育費の算定をしっかりする、といったことが非常に重要になってきます。これらのポイントを逃してしまうと上記したように紛争が二度手間になりかねません。こういったことを防ぐためにも、離婚に詳しい弁護士を使う方が賢明な判断といえます。