離婚にはいくつかの方法があります。協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚にはどのような違いがあるのか、費用はいくらくらいなのか、詳しく見ていきましょう。

協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の4つの類型

離婚の方法には、次の4つの類型があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚(判決離婚・和解離婚・認諾離婚)

協議離婚は、当事者間の話し合いにより離婚をするもので、それ以外は家庭裁判所の手続を利用することになります。
このうち最も多いのが協議離婚です。平成21年度厚生労働省「離婚に関する統計」によれば、全体の87.8%が協議離婚で、以下、調停離婚9.7%、和解離婚1.4%、判決離婚1.0%で、審判離婚や認諾離婚はあわせても0.1%以下しかありません。

協議離婚について

離婚届が受理されさえすれば簡単に成立する

協議離婚は、当事者の話し合いによって成立するもので、裁判所に行く必要もなく、離婚の原因も問われず、費用もかからず、離婚届を提出して受理されれば成立します。
そのため、とにかく早く離婚したいので離婚の条件について十分に話し合いをしなかったり、不利な条件をのんでしまったりすることも珍しくありません。また、一時の感情に流されて離婚することにしたが、少し時間がたって冷静になると離婚しなければよかったと後悔する可能性もあります。

離婚条件をあらかじめ決めておく

このような事態を避けるためには、離婚届を提出する前に、十分に話し合いをすることが必要です。財産分与、慰謝料、養育費、年金分割などは、いずれも離婚成立後でも一定期間は請求することが可能ですが、離婚成立前にあらかじめこれらの条件を決めておくほうがいいでしょう。

離婚協議書を公正証書で作成する

離婚条件について合意ができたら、その内容を明らかにするために離婚協議書を作成するべきです。離婚条件に財産分与、慰謝料、養育費など金銭的な支払いの取り決めがある場合には、公正証書で離婚協議書を作成することをお勧めします(約束通りの支払いがない場合、公正証書のほうが、強制執行が容易だからです)。
また、協議離婚の場合であっても、不利な条件であることを知らないまま合意してしまうおそれもありますから、早めに弁護士に相談するといいでしょう。

離婚協議にかかる費用

特に費用は掛かりませんが、公正証書を作る場合にはその費用が、相手方との交渉を弁護士に依頼する場合には弁護士費用が、それぞれ必要になります。

調停離婚について

夫婦関係調整調停

当事者間の話し合いで離婚について合意ができなかった場合、どうしても離婚したいときは、家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てる必要があります。
冒頭で紹介したとおり、調停離婚のほかに裁判離婚もありますが、まずは調停をして話し合いを行い、それでも合意ができなかった場合に初めて離婚の裁判を起こすことができる(調停前置主義といいます)とされています。ですから、相手方が絶対に離婚しないといっているような場合でも、まず調停をする必要があるのです。

調整委員を交えて離婚の話し合い

調停は、調停委員に間に入ってもらい、話し合いをする手続です。
一般的には、調停委員が待つ調停室に当事者が交互に入り、個別に調停委員と話をします。直接相手と顔を合わせるのではなく、中立の第三者である調停委員に対して自分の言い分を主張し、また調停員から相手方の言い分を聞くことになるので、当事者だけで話し合いをするよりも冷静に話し合いをすることができます。

家庭裁判所が調停調書を作成し、離婚が成立

調停で話し合いをし、合意に至った場合には、家庭裁判所が合意の内容を調停調書という文書にまとめます。調停の成立によって、離婚が成立します。
他方、話し合いをしても合意ができなかった場合、離婚は成立しません。

調停離婚は弁護士をつけずに調停委員に説明するのは難しい

離婚調停は、調停委員が話を聞いてくれるので、裁判のように難しい文書を作成して提出する必要もないため、弁護士をつけずに個人で対応している方も少なくありません。
しかし、離婚自体についての意向や離婚条件についての希望など、自分の言い分を調停委員に説明し、正しく理解してもらうことは難しいと言わざるを得ません。また、調停委員から納得できない提案があっても、十分に反論できずに受け入れてしまうおそれもあります。

離婚に詳しい弁護士の手助けを受ける方がよい

このような事態を避けるためには、調停の段階から離婚に詳しい弁護士に相談、依頼をするといいでしょう。弁護士に依頼をすれば、裁判所へ提出する書類を作成してもらえるだけでなく、調停期日に同席して、依頼者にかわって調停委員と話をしてもらえます。

調停離婚にかかる費用

離婚調停の申立てには、収入印紙1,200円と郵便切手が必要になります。切手は各裁判所によりますが、東京家裁では966円(100円2枚、82円8枚、10円10枚、5円2枚)とされており、他の裁判所でも同程度です。

調停離婚でかかる弁護士費用の相場はいくらなの?

審判離婚について

家庭裁判所は離婚を認める審判をすることができる

調停で当事者間の合意が成立しなかった場合でも、家庭裁判所は、離婚が相当と判断したときは、職権で離婚を認める審判をすることができます。
審判離婚が利用されるのは、離婚については双方が合意しているが、離婚条件のわずかな違いで最終的な合意ができない場合などです。
このように限定的な場合にのみ認められるので、冒頭でも紹介した通り、実際にはほとんど利用されていません。

異議を申し立てると離婚審判は効力を失う

離婚審判に対し不服がある場合は、審判の出された日から2週間以内に異議の申立てをすることができます。異議の申立てがなされると、離婚審判は無効になります。これも、離婚審判があまり利用されない理由の一つといえるでしょう。

審判離婚にかかる費用

調停離婚と同程度の費用が掛かります。

裁判離婚について

家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、離婚を求める

調停で話し合いをしても合意に至らなかった場合、それでも離婚したいときは家庭裁判所に離婚訴訟を提起する必要があります。
離婚訴訟で離婚が認められるためには、法律で定められた離婚原因が存在することが必要になります。言いかえれば、離婚原因がなければ離婚が認められないので、原告が離婚原因を積極的に主張・立証する必要があります。

法定の離婚原因

民法で離婚原因とされているのは、次の五つの事情です。

  • ① 配偶者の不貞行為
  • ② 配偶者に悪意で遺棄されたとき
  • ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • ④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • ⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

実務上多いのは、①と⑤です。
①は、配偶者が浮気をしたということで比較的わかりやすいと思いますが、⑤はどのような事情があれば婚姻を継続しがたいといえるのか、判断が難しい場合があります。⑤の典型例は、配偶者の暴力、モラルハラスメントなどでしょう。

裁判離婚には、判決離婚のほか、認諾離婚、和解離婚があります。
認諾離婚は、裁判の被告が原告の請求を争わず、すべて認める(請求の認諾といいます)ことで成立するものですが、実際にはほとんどありません。
和解離婚は、離婚裁判の過程で話し合いをし、合意ができた場合に、裁判上の和解で離婚を成立させるものです。
認諾離婚、和解離婚ができない場合には、裁判所は離婚原因があるかないかについて審理を尽くし、あると認めた場合には、当事者を離婚させるという判決をだします。

裁判離婚にかかる費用

離婚訴訟を提起するには、収入印紙代1万3,000円と郵便切手が必要になります。
郵便切手は裁判所によって違いますが、調停と比べると送る文書の量が多くなること、普通郵便ではなく特別送達という方法をとるため、料金が高くなることから、6000円前後が必要になります。

弁護士費用の相場はいくらなの?

協議離婚の場合の弁護士費用相場

弁護士の費用には、依頼をするとき必要となる着手金と、事件が終了した際の成功報酬の二つがあります。協議離婚、つまり相手方との任意の交渉を依頼する場合、着手金が10~20万円、交渉がまとまって離婚が成立した場合に、同じ程度の成功報酬という事務所が多いようです。

離婚調停の場合の弁護士費用相場

弁護士に離婚調停を依頼する場合、着手金20万円、調停が成立した場合の成功報酬20万円といった額が目安になります。交渉の場合は文書のやりとりや電話での交渉もありえますが、調停では期日に毎回出頭する必要があるため、交渉より高くなる傾向があります。

離婚裁判の場合の弁護士費用相場

調停が成立せず、裁判をする際に弁護士に依頼をすると、着手金30万円、裁判で離婚が認められた際の成功報酬が30万円が目安になります。調停と比べて文書の作成などの負担が増えるため、調停より高額になる傾向があるといえます。

弁護士費用を安くするには

弁護士費用は各弁護士と依頼者の協議で決められるもので、どうすれば安くなるとは一概には言えませんが、協議離婚(任意の交渉)から依頼をしていれば、調停、裁判と進む際に、追加の費用を安くしてもらえる可能性はあるでしょう。

まとめ

以上、離婚の種類とそれぞれの特徴、費用などをご説明しました。

離婚の場合、「裁判になると書類を作るのが大変だから弁護士に相談しよう。それまでは、できるかぎり自分でやろう」と考える方は少なくありません。確かに、弁護士費用はただではありませんので、そのように考えるには無理もないことです。
しかし、早期に弁護士に相談、依頼をすれば、不利な条件に気づかないまま離婚に応じるリスクを回避できるだけでなく、結果的に迅速な解決につながる場合もあります(たとえば、交渉段階で弁護士から相手方に離婚条件を提示し、相手方が別の弁護士に相談してそれが妥当な内容であるとわかれば、調停などにならずに交渉で離婚が成立することもあります)。
ですから、離婚を考えている場合には、早めに離婚問題に詳しい弁護士に相談をするといいでしょう。