夫や妻が浮気をしていたことが判明したら、ショックが大きいです。「今まで信じていたのに、なぜ」という思いにもなりますし、信じたくないという気持ちにもなるでしょう。
浮気している夫や妻も許せないでしょうし、浮気相手にも憎しみを持つことが普通です。夫はさほど積極的ではなかったのに、相手の女が誘ったから不倫関係になったケースもあります。
このような場合、浮気相手に慰謝料請求をするには、どのような手続きをとったら良いのでしょうか?
今回は、夫や妻が不倫している場合の浮気相手への慰謝料請求方法をご説明します。

目次

ポイントその1 不倫慰謝料を請求するために必要な条件

浮気相手へ慰謝料請求をするためには、何も無い状態では対処できません。慰謝料請求にはいくつかの条件が必要になります。そのためには証拠を集める必要があります。
以下では、浮気相手や配偶者に不倫の慰謝料を請求するための条件と証拠を集める方法を説明します。

浮気相手と肉体関係があった証拠がある

まずは、浮気の証拠があることが必要です。浮気相手に慰謝料請求しても、本人が浮気を認めることは少ないです。証拠をつきつけてはじめて「確かにそうでした」と言い出すことが普通です。証拠があると、相手との交渉もしやすくなるのです。
法律上では、浮気のことを不貞と言います。法律上の不貞が認められるには、肉体関係があったことが必要です。単にデートしていたとか一緒に食事したり遊びに行ったりキスをしたりしただけでは不貞にならないのです。
そこで、慰謝料請求をするためには、配偶者と相手が肉体関係をもっていたという証拠を入手しなければなりません。

どんな証拠が必要なの?

実際に、浮気の慰謝料の請求をするためには、どのような証拠が必要なのでしょうか?
この場合、配偶者と浮気相手が肉体関係をもっていたことがわかるようなものが必要です。肉体関係を直接指し示すようなものがあると有効です。

具体的には、以下のようなものが考えられますので、ご紹介します。

  • ・配偶者と浮気相手が、部屋やホテルなどの場所で、裸で移っている画像や動画(配偶者と浮気相手が一緒に写っていても相手の女性がひとりでも良い)
  • ・配偶者や浮気相手が「不倫した」「浮気した」などと認めた書類や音声、映像など
  • ・配偶者と浮気相手が一緒に旅行をしたり、食事をしたり、ホテルを利用したり、配偶者が浮気相手にプレゼントを贈ったりした際の領収証やクレジットカードの明細書
  • ・配偶者と浮気相手が交わしたメールや手紙で、浮気していることが推測されるもの。LINEやSNS上でのやり取りも可

上記の証拠類は、何か1つがあれば確実に不倫が認められるというものとは限りません。
たとえばメールやLINEの記録があっても、それだけでは不十分なケースがありますし、食事やデートした領収証があっても、それだけでは必ずしも不貞とは言えません。不貞の証拠と言えるためには、それらと合わせて他の証拠も照らし合わせて、全体的に不貞の証明をする必要があります。自分で調べるのが難しければ、興信所を利用しても良いでしょう。

調査費用をかけたくないから、友人に調査を頼みたい

浮気相手に慰謝料請求をするためには、確実な証拠が必要です。そのためには、探偵や興信所を使う方法が効果的です。しかし、興信所や探偵を使うと、多額の費用がかかってしまうことが多いです。

興信所や探偵でどれだけ多額の費用をつぎ込んでも、その費用を浮気相手に請求することは基本的に難しいので、費用を出しても持ち出しになって損をする可能性もあるのです。
興信所や探偵を使うと費用がかかるので、友人や親戚などの素人に浮気調査を依頼することがあります。しかし、素人が他人の素行調査をすると危険です。プライバシー侵害があったと言われて相手から逆に訴えられることがありますし、相手と鉢合わせしてトラブルになるケースもあります。自分で調査した場合も同じ問題が起こります。
また、素人の場合には尾行などが下手なので相手にばれてしまい、その後相手が警戒して慎重に行動するようになるので、不倫の証拠をつかむことが困難になってしまうおそれもあります。
不正な調査方法で手に入れた証拠の場合には、弁護士に渡しても使ってくれなかったり、使っても有効にならないものです。
そこで、たとえ費用がかかっても、確実に使える効果的な証拠を手に入れるためには、プロの探偵や興信所に依頼すべきです。

浮気相手が既婚者と知っている

浮気の慰謝料を請求するためには、条件があります。それは、浮気相手が、あなたの配偶者のことを「既婚者」と知っていたことです。ただし、知らないとしても、既婚者であることに気づかなかったことについて過失がある場合には、慰謝料請求ができます。慰謝料は民法上の不法行為を理由としますが、不法行為が成立するには、故意または過失が必要になるからです。
たとえば、配偶者が不倫相手に対して「ぼくには妻がいない」などと説明していて、その説明がもっともらしく、浮気相手がその言葉を信じても仕方がないというようなケースでは、浮気相手に慰謝料請求ができない可能性があります。
これに対して、配偶者が浮気相手に対し「妻とは離婚する」と説明していたケースでは、浮気相手は、あなたの配偶者が既婚者であることを知っていたことになるので、慰謝料請求ができます。

不倫した時点では夫婦関係が円満であった

不倫の慰謝料請求をするためには、さらに他の条件も必要です。それは、配偶者が不倫をした時点では、あなたと配偶者との夫婦関係が円満であったことです。
不倫で慰謝料が発生するのは、配偶者と浮気相手の不倫によって、夫婦関係が破綻したからです。もともと円満な夫婦だったのに、浮気によってその円満な関係を壊されたから、その精神的損害を賠償請求することができます。もともと夫婦仲が悪く、破綻状態だったケースでは、不倫によって夫婦関係が壊れたとは言えないため、精神的損害である慰謝料の発生が認められないのです。
たとえば、配偶者が不倫を始めたときに別居状態であった場合や、家庭内別居で離婚予定があった場合などには、配偶者や浮気相手に対して慰謝料請求ができない可能性があります。

浮気相手にも請求する場合は、 浮気相手の本名や連絡先が必要

浮気相手に慰謝料請求をするためには、浮気相手の氏名や住所などの情報が必要です。どこの誰かわからない人に対して、慰謝料請求することは困難です。たとえば本名や住所がわからない場合には、そのまま逃げられてしまった場合に追いかける手段がありません。
通常、不倫相手に慰謝料請求をする場合には、内容証明郵便で請求書を送るなどの方法をとります。このとき、相手の氏名や住所がわからないと、請求書を送ることもできません。相手に対して裁判をする場合にも、相手の本名と住所が必要になります。
もしどうしても本名や住所がわからない場合には、メールアドレスや電話番号から浮気相手の氏名、住所などを調べることができるケースがあります。
相手のメールアドレスやSNSの連絡先しかわからないようなケースでは、相手方と話し合いをすすめる中で、それとなく氏名や住所を聞き出しておくことが望ましいです。

ポイントその2 不倫慰謝料は誰に請求できる?

不倫慰謝料を請求するためには、証拠集めなどの請求条件以外にも注意点があります。それは、慰謝料を誰に請求するかという問題です。具体的には、配偶者に請求するのか、不倫相手に請求するのかという問題があります。以下で、ケースごとに分けて見てみましょう。

浮気相手に請求する場合

不倫の慰謝料は、浮気相手に請求することができます。浮気相手は、あなたの配偶者が既婚者であると知りながら(また過失によって気づかないまま)不倫を続けていたわけですから、不法行為が成立します。そこで、あなたは不倫相手に対して、不法行為にもとづく損害賠償請求として、慰謝料請求ができるのです。

配偶者に請求する場合

不倫の慰謝料請求は、不倫相手だけではなく配偶者本人に対しても請求できます。
たとえば、不倫相手については氏名や住所などの十分な情報がなくて請求が難しい場合や、不倫相手が完全にあなたの配偶者にだまされていて、既婚者であることに気づかなかったとしても仕方がないようなケースでは、不倫相手に対して慰謝料請求することが難しくなる可能性があります。
この場合には、配偶者に対して慰謝料請求をすることができます。
ただし、配偶者に対する慰謝料請求をするためには、基本的に離婚をする必要があります。離婚しないのに配偶者に対して不倫慰謝料の支払いだけを求めても、少なくとも裁判の場では認められにくいです。(夫婦の話し合いでお金を払ってもらうことは可能です)
なお、離婚の際に配偶者に対して不倫慰謝料を請求する場合、財産分与とは別に請求することができます。慰謝料請求したら財産分与がもらえなくなるというおそれはありませんので、安心しましょう。

浮気相手、配偶者の両方から請求する場合

不倫の慰謝料は、浮気相手と配偶者の双方に対して請求することができます。このとき、双方に同時に請求することもできますし、時期をずらして請求することもできます。
ただし、不倫の慰謝料は、夫に対していくら、不倫相手に対していくら、というような個別の計算にはなりません。2人に対して合計いくら、という考え方になるので、注意が必要です。
たとえば、浮気相手から先に慰謝料を受け取っていた場合には、後に夫に請求をする場合、夫に支払請求できる金額から、すでに受け取っている浮気相手からの慰謝料分が減額されることになります。

求償権について

不倫慰謝料を請求する場合、配偶者と不倫相手との間はどのような関係になるのかが問題になります。たとえば、不倫相手が全額慰謝料を支払った場合、夫は全く支払をしなくて良くなるのかというような問題です。
この場合、不倫相手は夫に対して、自分の負担部分を超える支払分について、支払い請求する権利があります。この権利のことを求償権と言います。
たとえば、浮気相手が不倫の慰謝料として200万円支払った場合、浮気相手の負担部分が100万円なら、浮気相手が求償権を行使して、夫に100万円の支払い請求をしてくる可能性があります。
そこで、浮気相手に慰謝料請求をする場合には、特に配偶者と離婚しない場合、配偶者に対して求償権を行使しないことも約束させることが重要になります。

ポイントその3 慰謝料の相場はどのくらい?

不倫慰謝料を請求する際には、実際問題としていくらの金額の請求ができるのかという問題も考えなければなりません。不倫慰謝料の金額については、「〇〇円」とはっきりした定額の決まりはありません。ケースごとに異なる数字となります。
しかし、浮気の慰謝料にも法律的な相場というものがありますので、相場とあまりにかけ離れた金額の請求をしても、通常そのような支払いは受けられませんし、裁判でも認められません。以下では、どのような場合にいくらくらいの慰謝料が認められるのか、不倫慰謝料の相場をケース別に見てみましょう。

浮気が原因で離婚する場合

不倫慰謝料の金額が高くなるケースは、不倫が原因で夫婦関係が破綻し、実際に離婚するケースです。
この場合には、配偶者や不倫相手の不貞行為の責任が重くなりますので、慰謝料の金額が高額になります。
具体的には、300万円くらいまでの金額が相場となります。

離婚せず慰謝料のみ請求する場合

不倫の慰謝料を請求するパターンとして、実際に離婚はしないけれども不倫相手に慰謝料請求だけするというケースがあります。この場合には、請求出来る慰謝料の金額が低くなります。不倫行為があったとしても、実際には夫婦関係が破綻しなかったということになるので、その分浮気された被害者が受ける精神的なダメージも小さいですし、配偶者や浮気相手による不倫の責任が軽いとみなされるからです。
不倫があっても離婚しない場合には、慰謝料の金額は、通常100万円以下になります。

慰謝料の金額はどんな要因で増減するの?

不倫慰謝料の金額を考える場合、慰謝料の金額がどのような要因で増えたり減ったりするのかを知っておく必要があります。
たとえば、離婚慰謝料の金額は、離婚する場合には300万円くらいまでという相場がありますが、ケースによっては150万円程度にしかならないこともあります。逆に、高額になるケースでは、300万円を超えてくるケースもあるのです。
そこで、自分の場合の離婚慰謝料の金額を考える際には、離婚慰謝料がどのようなケースで高くなり、逆にどのようなケースで低くなるのかを抑えておくと役立つのです。

不倫慰謝料は、以下のような事情があると高額になります。

  • ・婚姻期間が長い
  • ・不貞(不倫行為)の期間が長い
  • ・被害者の精神的なショックが大きい(たとえばうつ病にかかって通院したケースなどは高額になりがちです)
  • ・浮気が原因で、被害者が働けなくなって仕事をやめてしまった
  • ・夫婦の間に未成年の子どもがいる(子どもの人数が多いと慰謝料は高くなりがちです)
  • ・配偶者と不倫相手との間に子どもができた
  • ・何度も「浮気はやめる」と言っているのにやめずに繰り返している
  • ・不倫相手や配偶者が多額の財産を持っている場合や、収入が高い場合
  • ・不倫相手や配偶者の社会的地位が高い場合

上記のような事情があると、不倫の慰謝料は高額になりがちですし、逆に上記のような事情がなければ(上記と反対の事情があれば)減額される方向にはたらきます。

他にも知っておくべき不倫慰謝料の相場についてはこちらへ

ポイントその4 慰謝料請求の流れ

いろいろと手間や費用をかけて不倫の証拠を揃えて、相場を調べて慰謝料の金額を計算し、配偶者や不倫相手に慰謝料請求をしようとしても、具体的にどのような手続きをとれば良いのかがわからないと、請求をすすめられません。そこで、以下では慰謝料請求の手続きの流れを見てみましょう。

浮気相手に請求する場合

まずは、不倫相手に慰謝料請求する手続きをご紹介します。
この場合には、まず、浮気相手があなたの配偶者について、既婚者と知りながら不倫していたという証拠が必要になるので、そのような証拠が手元にあることを確認します。
そして、浮気相手に対して、内容証明郵便を使って慰謝料の請求書を送ります。
このとき、相手方に到達したことが確実にわかるようにするため、配達証明をつけておくと良いでしょう。
請求書の送付後は、浮気相手と交渉をして、いくらの慰謝料をどのような方法で(一括払いか分割払いか等)支払ってもらうのかを決定していきます。
双方の折り合いがつけば、示談交渉は終了してその内容に応じて慰謝料の支払いが受けられます。もし折り合いがつかない場合には、裁判を起こす必要があります。この場合の裁判は、損害賠償請求訴訟となります。
慰謝料請求をする際、自分でいきなり内容証明郵便や電話、メールなどで請求すると、相手も感情的になって示談がまとまりにくいです。確実に手続きを行うためにも、弁護士などの専門家に相談したり依頼したりしてすすめると良いでしょう。

浮気相手に請求する場合の流れ

配偶者に請求する場合

次に、不倫の慰謝料を配偶者に請求する場合の手続きの流れを確認します。
この場合にも、浮気相手に対する請求をする場合と同様、配偶者と話し合いをするところから始めるのが普通です。
通常は、離婚の話し合いの中で、慰謝料の金額や支払方法などについても決めていくことになります。
たとえば、他に財産分与などがあれば、その話を並行しながら慰謝料支払いについての話し合いもすすめます。
離婚の話し合いがまとまらない場合には、離婚調停を利用して、その手続きの中で慰謝料の金額や支払方法を決めていきます。
離婚しない場合には、裁判などの場で法的に慰謝料請求をすることは難しいですが、夫婦間でのペナルティとして慰謝料の支払をしてもらうことはできます。この方法は、今後の結婚生活へのいましめとしての効果があります。

離婚調停を弁護士に依頼した場合、弁護士費用の相場はいくらなのか?

配偶者に請求する場合の流れ

浮気相手、配偶者両方に請求する場合

浮気相手と配偶者の双方に慰謝料請求をする場合の手続きの流れを見てみましょう。
この場合にも、浮気相手への慰謝料請求をする場合と同様、浮気相手が「既婚者であると知りながら(あるいは知らないことに過失があって)不貞した」という証拠が必要ですので、そのような証拠が手元にあることを確認します。
そして、不貞相手へは内容証明郵便で請求書を送ります。
配偶者に対しては、離婚の話し合いをすすめる中で、慰謝料支払いについての話し合いもすすめていきます。
配偶者と別居しているケースでは、配偶者に対しても内容証明郵便で離婚と慰謝料の請求通知を送ることも可能です。
そうして、配偶者や不倫相手との間で慰謝料の金額や支払方法について話し合いをすすめて、最終的に話し合いがついたら、その内容に従って慰謝料の支払いを受けることができます。
ただし、この場合、配偶者と不倫相手の支払うべき慰謝料の金額は「2人合わせていくら」という計算方法になります。
配偶者と不倫相手の双方に慰謝料請求をしたからと言って、慰謝料が単純に2倍もらえるということにはならないので、注意が必要です。
さらに、この場合、浮気相手と配偶者が結託していろいろな対抗手段を講じてくる可能性もあるので、事前にしっかりと証拠を確保して準備を整えた上で請求手続きに臨むことが重要になります。

浮気相手、配偶者の両方に請求する場合の流れ 浮気相手と配偶者は別々に慰謝料を請求することはできません

ダブル不倫の場合の請求について

不倫のパターンとして、ダブル不倫のケースがあります。ダブル不倫とは、不倫している当事者の両方に配偶者がいるパターンです。この場合、浮気相手に慰謝料請求は可能ですが、逆に、浮気相手の配偶者から自分の配偶者が訴えられてしまったり、慰謝料を請求されたりする可能性があるので、注意が必要です。

ダブル不倫の場合は慰謝料請求をし返される可能性があります

ダブル不倫の場合、配偶者と離婚する場合には、浮気相手の配偶者から慰謝料の支払い請求を受けても自分とは関係がないので、影響が少ないです。しかし、配偶者と離婚しない場合にはそうはいきません。
ダブル不倫のケースでも、浮気相手の配偶者は、浮気に気づいていない場合もあります。しかし、こちらが慰謝料請求をしたことがきっかけで、浮気相手の配偶者に不倫を気づかれ、逆にこちら側の配偶者に慰謝料請求されてしまうおそれがあります。こちらからの慰謝料請求が「やぶへび」になってしまうのです。しかも、この場合、こちらの夫婦は離婚しないので、こちらが浮気相手に請求できる慰謝料の金額は少なくなります。これに対して、浮気相手の夫婦が離婚する場合や2人の間に小さな子どもがいる場合などには、高額な慰謝料を請求されることになってしまいます。
結局、差し引きしても浮気相手に慰謝料請求しなかった方が得だったということも充分にあります。
そこで、ダブル不倫の場合には、配偶者と離婚しないのであれば、浮気相手への慰謝料請求は控えておいた方が良いケースがあります。
また、以上のように、ダブル不倫の場合には、通常の不倫のケースよりも検討すべき問題が多く、離婚問題も絡んで複雑になってくるので、弁護士などの専門家に手続きを依頼する方が安心です。

ポイントその5 不倫慰謝料の請求期限(時効)

浮気相手などに対して不倫の慰謝料を請求する場合、請求ができる期間についても注意が必要です。不倫の慰謝料は、不倫があった後いつまででも請求できるわけではありません。
不法行為にもとづく損害賠償請求の時効は、3年です。よって、不倫関係があって、あなたがそのことを知ったときから3年が経過したら、慰謝料は時効にかかって請求できなくなってしまいます。
また、不倫の慰謝料には除斥期間という期間制限もあります。不倫があってから20年が経過したら、その間あなたが不倫関係をずっと知らなかったとしても、慰謝料請求はできなくなるので注意しましょう。

期限を過ぎたらもう二度と請求できないの?

不倫の慰謝料を請求しそびれて3年などの期間が経過してしまった場合には、基本的には慰謝料請求ができなくなります。ただし、この場合でも、相手が支払の意思を見せた場合や支払い義務を承認した場合などには、慰謝料請求ができる可能性があります。
相手が支払い義務を認めるような言動をした場合には、証拠をとるために念書などをとっておくと良いでしょう。最低限、「〇〇さんと不倫していたことにより、慰謝料を支払います。」という内容を書いてもらって署名押印をさせましょう。その際、日付をしっかり入れておくことが重要です。
何らかの証拠を残しておかないと、後から相手の気が変わり、時効の完成を主張されるおそれもあるからです。
また、慰謝料請求を先延ばしにしていると、このような期間制限の問題が発生するので、慰謝料請求したい場合には早めに手続きをとって解決しておく方が良いです。

二度目の浮気に対する慰謝料は請求できるの?(一度目は請求済)

不倫をする人は、何度も不倫を繰り返すことがあります。過去に1度不倫をしたことがあって慰謝料を支払ってもらった場合、再度不倫されてしまったら、慰謝料請求ができるのかという問題があります。
これについては、同じ相手方か他の相手方かによっても異なります。

まず、同じ不倫相手の場合に再度慰謝料請求するには、1回目の不倫以降いったん夫婦関係が修復されていることが必要になります。いったんはその不倫相手と別れていることが前提です。
同じ不倫相手の場合には、1回目の不倫とは異なる損害が発生したことを証明しなければならないので、1回目の不倫と2回目の不倫との間につながりがないことを証明することが重要になります。
1回目の浮気の後、いったん夫婦関係が修復されたのに、同じ相手と不倫を再会したため再度夫婦関係が破綻したという場合には、1回目の不倫と2回目の不倫との間につながりがないと言えるので、2回目の慰謝料請求ができます。

次に、異なる不倫相手の場合です。この場合にも、1回目の不倫以後、夫婦関係がいったん修復されたことが必要になります。ただ、異なる不倫相手の場合には、1回目の不倫とはつながりがないことを容易に証明できるので、異なる損害が発生したことを証明しやすく、慰謝料請求も認められやすいです。

おまけ:不倫慰謝料請求のテクニック

不倫慰謝料を上手に請求するためには、不倫慰謝料請求のためのテクニックを把握しておくと役立ちます。
同じケースで同じように慰謝料請求するとしても、上手に請求する場合とやみくもに請求する場合とでは、得られる慰謝料の金額が全く異なってくるからです。
不倫慰謝料を請求したい場合、その意味は人によって異なります。多いのは配偶者に裏切られたことによる精神的なダメージを償ってもらうためですが、これ以外にも、けじめをつけるためとか、離婚後の生活のためなどの意味が含まれるケースもあります。
どのようなケースでも、スムーズに多額の慰謝料を回収出来るに越したことはありません。
そこで、以下では不倫慰謝料を請求する際に抑えておきたいテクニックをご紹介します。

配偶者に対して、慰謝料を支払うか、離婚するか選択させる

配偶者が離婚を望んでいる場合に利用できるテクニックがあります。それは、配偶者からの離婚請求を拒絶しながら、こちらが望むだけの不倫慰謝料を支払ったら離婚に応じてあげると言って交渉する方法です。
不倫があった場合、不倫した配偶者の方から離婚請求することはできません。法律上、有責配偶者(離婚原因について責任のある配偶者)からの離婚請求が認められないからです。つまり、離婚するかどうかは、あなたの意思1つにかかっているのです。配偶者がどうしても離婚したい場合には、あなたが望むだけの慰謝料を支払うしかなくなります。逆に、配偶者が離婚を望まず、婚姻の継続を希望している場合には、慰謝料を支払ってもらう代わりに離婚しないという条件を出すこともあり得ます。

浮気相手に対して、慰謝料を支払うか、二度と復縁・浮気をしないと約束させる

次に、浮気相手に対して不倫慰謝料を請求する際のテクニックをご紹介します。
このテクニックは、配偶者と離婚しない場合に利用できるものです。
配偶者と離婚しない場合には、不倫相手との慰謝料請求の交渉において、「慰謝料を請求しない代わりに、配偶者とは2度とかかわらない」ことを約束させます。
このことによって、再び同じ不倫相手と浮気することを防ぎ、夫婦関係を修復しやすくなります。この場合には、不倫相手に不貞をわびる謝罪文などを入れてもらうと、こちらの気持ちとしても納得しやすくなります。
この方法で示談する場合、もし不倫相手が約束を破って配偶者と連絡を取った場合などには、当然に慰謝料を請求できることも定めておきます。その際、不倫相手からの求償権は行使できないことにしておきましょう。

慰謝料請求は悪いこと?

不倫の慰謝料を請求することについては、世間的に良いイメージではないことがあります。配偶者が不倫しただけでも恥ずかしいことなのに、慰謝料請求をするなど恥の上塗りであり、抵抗が強い人もいるでしょう。
しかし、不倫の慰謝料請求は、法律上で認められた権利です。これを行使することについて何らこちらに恥じる理由はありません。悪いのは、不倫をして夫婦関係を破綻させた配偶者と不倫相手なのです。よって、不倫の慰謝料請求について、恥ずかしいとか悪いことだと思う必要はありません。
悪いことをした相手方らに反省をさせ、ペナルティを与えてけじめをつけさせるための手段だと考えると良いでしょう。

慰謝料請求をするにあたって、理想的な状況とは(まとめ)

不倫の慰謝料請求をする場合、いろいろなケースがあります。上手に多額の慰謝料請求をするためには、以下のような状況があることが望ましいです。

まずは、配偶者と浮気相手が不倫をしたことを示す確実な証拠があることです。そして、その不倫行為が原因で、夫婦関係が破綻し、離婚の危機に瀕している場合には慰謝料の金額が上がります。
また、不倫相手に請求をするためには、浮気相手の本名や住所などの情報をつかんでいることが必要です。
さらに、不貞後3年が経過しておらず、不倫慰謝料の時効が成立していないことも必要です。不倫慰謝料の請求をスムーズに話し合いによって受けるためには、請求金額が不倫慰謝料の相場の金額であって、なおかつ慰謝料の請求相手が納得できる条件であることも必要です。

このように、不倫慰謝料を請求するためには、いろいろな条件があって、状況や手続きの進め方によっても有利不利が発生します。
自分一人で抱え込むとうまくいかなくなることもあるので、上手に専門家の力を借りながら、丁寧に確実に慰謝料請求の手続きをすすめることが慰謝料請求の成功の秘訣です。