いざ家や土地などの不動産を相続しようとした場合に、名義変更で気をつけるべきことは何なのか。詳しくない人は不安に思うことでしょう。そこで、不動産を相続する場合の名義変更について詳しく書いていきます!

不動産を相続した場合に名義変更は必要なの?

不動産を相続した場合、名義変更をしなければいけないのでしょうか?もし名義変更をしないまま放置すると、何か問題が生じるのでしょうか?

不動産の名義変更とは、「不動産の所有者として亡くなった方が登録されているので、名義が変わったことを登録する手続き」です。被相続人が亡くなった瞬間から、不動産は自動的に相続人の所有物となります。しかし、名義が自動的に変更されるわけではありません。きちんと登記所で手続きを行わなければいけません。

それでは、いつまでに名義変更しなければいけないのでしょうか?実は、法律によって期限が決まっているわけではありません。法律上は、いつでも名義変更をすることができます。

しかし、名義変更をしないまま放置していると、様々なデメリットがあります。

まず、名義変更をしていないと、「この不動産は確かに自分の物である」と主張することができません。相続したマンションに誰かが住んでいる場合、賃料を払ってもらわなければいけません。しかし、名義変更をしていないと、住んでいる人から「所有者であるという証拠を見せてください」と言われても、証拠を見せることができません。

また、「不動産のトラブルが生じたときに、所有者の所在が確定できないために、紛争が長引いてしまう」というデメリットもあります。土地の境界線を巡って近隣住民とトラブルとなった場合に、名義変更をしていなければ、あなたが所有者として話し合いの場に出ることはできません。話し合いが進まないため、ますます問題がこじれてしまいます。

このように、名義変更をしないまま放置していると、様々なデメリットが生じます。不動産を相続した方は、お早めに名義変更をしておきましょう。

不動産を相続する場合は、相続人全員で話し合う

相続人が何人もいる場合は、誰が相続するかについてどのように決めたらいいのでしょうか?

相続人が複数いる場合は、全員で話し合いをしなければいけません。この話し合いのことを「遺産分割協議」と言います。一人で勝手に決めることはできません。

遺産分割の話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所で「遺産分割調停」という手続きを利用することができます。この調停の手続きでは、裁判所が相続人全員の言い分を聞き取ったうえで、必要があれば不動産の鑑定を行います。全ての調査が終了すると、裁判所が解決案を提示してくれます。

この遺産分割調停の手続きでも話し合いがまとまらなければ、自動的に「審判」が開始します。審判においては、関係資料を精査したうえで、裁判官が遺産分割の方法を決定します。

遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名し実印を押す

遺産分割について相続人全員での話し合いがまとまった場合、その後はどのように手続きを進めたらよいのでしょうか?

話し合いがまとまった場合は、すぐに話し合いの内容を書面にまとめておきましょう。この書面のことを「遺産分割協議書」と呼びます。

遺産分割協議書は、ただのメモではありません。「相続人全員が確かにこの内容で納得した」ということを証明する重要な書類です。もしも将来的に相続についてトラブルが生じた場合には、遺産分割協議書に書かれている内容が優先されます。とても重要な書類なので、必ず作成しておきましょう。

それでは、遺産分割協議書はどうやって作成するのでしょうか?遺産分割協議書は、相続人全員で作成します。一人で作成することはできません。文章を考えるのは相続人の一人でも良いのですが、その内容を全員で確認し、全員が納得しなければいけません。

相続人全員が内容に納得すれば、全員で署名をします。署名の横には実印を押します。本物の実印を押したことを証明するために、「印鑑登録証明書」を添付します。印鑑登録証明書は、お近くの市役所で取得することができます。

遺産分割協議書は重要な書類ですので、文面は慎重に作成しましょう。法律用語がたくさん出てくるので、分からないことがあれば専門家に相談しましょう。一度間違った遺産分割協議書を作成してしまうと、トラブルの火種となります。弁護士に依頼すれば、文面を作成するだけでなく、必要書類の取り寄せなど、最後まで責任を持って担当いたします。

相続登記に必要な書類とは?

遺産分割協議書を作成したら、次はいよいよ相続登記の手続きに入ります。相続登記をするためには、どのような書類が必要になるのでしょうか?

まず、亡くなった方についての書類が必要となります。亡くなった方の「戸籍謄本」や「住民票の除票」を取り寄せます。

また、不動産についての書類として、「登記簿謄本」や「固定資産評価証明書」が必要となります。

さらに、名義を変更する被相続人の戸籍謄本や住民票も必要になります。

その他にも、たくさんの書類が必要となります。例えば、遺言がある場合は、必ず遺言が必要となります。遺言がある場合と無い場合では、必要な書類が異なります。また、遺産分割協議によって登記をする場合と法定相続による登記をする場合でも、必要な書類は異なります。

このように、どのような書類が必要となるかは、ケースに寄って異なります。ご自身で相続登記をするとなると、「どのような書類が必要なのか」ということを調べるだけでも、かなりの時間がかかります。

相続登記をお考えの方は、まずはお気軽に専門家に相談してみましょう。

相続登記にかかる費用

相続登記をするには様々なメリットがありますが、デメリットが1つあります。唯一のデメリットは「お金がかかる」ということです。

相続登記をするためには、どれくらいのお金がかかるのでしょうか?

名義変更を行う際には、「登録免許税」というお金がかかります。「税」という言葉から分かるとおり、国に納める税金です。

登録免許税がいくらかかるかは、不動産の価値によって決まります。不動産の価値は、「固定資産税の評価額」に書かれている金額です。計算方法は、固定資産税の評価額の0.4%です。

例えば、不動産の価値が8,000万円の場合は、8,000万円×0.4%=32万円です。

その他にも、戸籍謄本や住民票を取り寄せるための手数料がかかりますが、これらは1,000円程度で取得することができます。相続人が多くなればなるほど、取り寄せる書類が多くなるので、手数料は高くなります。相続人が何人いるかによって総額は異なりますが、おおよそ数千円から1万円程度におさめることができます。

相続登記の申請先

相続登記の申請は、どこで行うのでしょうか?

相続登記の申請は、法務局で手続きをします。法務局は、日本全国にたくさんあります。どこの法務局で手続きをしてもいいわけではありません。名義変更をする不動産がどこにあるかによって、管轄の法務局が決まっています。

お近くの法務局で手続きができるとは限りませんので、注意しましょう。

それでは、専門家に相続登記の申請をお願いする場合、管轄の法務局に近い事務所を探した方が良いのでしょうか?

当事務所では、日本全国からのご依頼を引き受けております。不動産の相続登記は、必要な書類をそろえることが重要な作業となります。必要な書類をそろえることは、郵送や電話で対応することができます。法務局とのやり取りは電話やメールで行うことができますので、遠くに所在する不動産についても、当事務所が責任を持って手続きを進めさせていただきます。

相続登記をお考えの方は、管轄を気にすることなくお気軽に当事務所までご相談ください。

相続登記は自分でできるの?

相続登記はややこしいイメージがありますが、自分で行うことはできるのでしょうか?

相続登記は、専門家に頼まなければできないわけではありません。ご自身で手続きをしたいという場合は、ご自身で申請することもできます。

ご自身で申請をするメリットは、「専門家に頼む費用がかからない」ということです。

ただし、デメリットがたくさんあります。まず、「複雑な手続きを一から勉強しなければいけない」という点です。

また、「必要な書類をそろえるために、平日の昼間に仕事を休まなければいけない」というデメリットもあります。相続登記をするための書類は、市役所や法務局で取得しなければいけません。一部の書類は郵送で取り寄せることができる場合もありますが、直接出向いて取得しなければいけない場合もあります。市役所や法務局は、平日の昼間しか開いていませんので、お仕事をされている方はわざわざお休みを取らなければいけません。

さらに、「必要な書類はケースバイケースで異なるため、自分の場合はどのような書類が必要になるのか、調べても調べても分からない」というデメリットがあります。登記の勉強を一から行わなければいけないので、相続登記をするまでに相当な時間がかかります。

他にも、「相続人が何人かいる場合、相続人全員との連絡は自分が行わなければいけない」というデメリットもあります。弁護士にご依頼していただければ、手続きについての連絡は弁護士が責任を持って行います。疎遠な相続人がいる場合でも、弁護士に任せておけば安心です。

相続登記の手続は、ご自身で行うこともできますが、メリットに比較してデメリットがたくさんあります。相続登記をお考えの方は、まずは一度専門家にご相談してみましょう。

相続登記の期限

相続登記はいつでもできるのでしょうか?いつまでに手続きをしなければいけないのでしょうか?

法律を見ても、相続登記をいつまでにしなければいけない、とはどこにも書かれていません。相続登記の期限は法律では決められていないのです。

それでは、タイミングとしてはいつ登記をするのが良いのでしょうか?

相続登記のタイミングは、「早ければ早いほど良い」のです。相続登記をする最大の効果は、「不動産が自分のものであることを、第三者に知らしめること」です。相続登記をするまでに時間がかかると、その間は「この不動産は誰のものなのか」ということがはっきりせず、名義が宙ぶらりんの状態となってしまいます。その間にトラブルが生じた場合には、裁判を行って所有者を確定しなければいけません。

早く登記を行えば、それ以降は「自分のものだ」と主張することができます。「自分のものである」という期間を長くするためには、早く登記を行っておかなければいけません。

相続登記をいつ行ったとしても、費用は同じです。早く相続登記をしておけば、多くのメリットがあります。まだ相続登記をしていない方は、お早めに相続登記をしておきましょう。

まとめ

不動産を相続した場合は、お早めに名義変更をしておきましょう。名義変更をしない内は、不動産の所有者が確定していない不安定な状態です。名義変更をしておくと、「この不動産は自分のものである」ということを、第三者に主張できるというメリットがあります。相続登記の申請は、ご自身で手続きをすることもできますが、手続きは複雑で時間がかかります。相続登記をお考えの方は、お気軽に弁護士に相談しましょう。